26.11.10

Nadine - Insatiable


01. Runnin'
02. Put Your Hands Up
03. Chained
04. Insatiable
05. Red Light
06. My Sexy Love Affair
07. Lullaby
08. You Are the One
09. Natural
10. Raw
11. Rumors
12. Unbroken
13. I'll Make A Man Out Of You Yet

"Voice of Girls Aloud"ことNadineのソロアルバムが遂に到着。丁度Cheryl Coleのソロ始動と同時期にソロデビューの目処が立っていたNadineでしたが、約1年間の制作期間を設けてついに完成したのが本作「Insatiable」となります。UKの大手スーパーマーケットTescoとレコード契約を結び、さらにCDもTescoでのみの販売という異例のプロモーションを展開。しかし、ソロとして成功を収めたCherylとは対照的に、先行シングル「Insatiable」は26位、アルバムに至っては47位(!)と、全く泣かず飛ばずな結果に...。何と言うか、Nadine自身の人気がどうこうというより、単にソロアルバムの存在自体が知れ渡っていないのではないかと。実質インディーからのリリースと言っても過言ではないので、セールスの不振に関しては仕方ないと思う。だから、メジャーレーベルと契約しているCherylと比べたりするのはそもそもお門違いってわけなんですよ。まあ、それは置いといて、このアルバム、日本のネットショッピングでは購入不可能ですが、一応、Amazon UKではマーケットプレイスでの購入が出来ますので、欲しい人は注文してみてください。

1stシングルに抜擢されたのはアルバムの表題曲「Insatiable」。ロックにエレクトロ、レトロソウルなど、あらゆる要素を取り込んだ力強いミッドチューンで、サビでのNadineの張り上げ歌唱が特徴的なナンバー。初めて聴いたときから、「この曲絶対に売れないだろうなー」と思ってましたが、案の定全く売れませんでした。今のUKのメインストリームでウケる曲ではないですよね。個人的に私もこの曲はあまり好きではありません...。Nadineらしい曲だとは思いますが。

しかし、それ以外の楽曲はなかなかの粒ぞろい。ヒップホップテイストをまぶしたクールなアップ「Runnin'」で幕を明け、キャッチーで即効性の高いシンセポップ「Put Your Hands Up」、StarGate風ミディアムアップ「Chained」と、掴みはOK。「Insatiable」を挟んで、ロッキッシュなアップ「Red Light」、ミュージカル調の麗しいトラックにNadineのスウィートなウィスパーボイスが乗っかる「My Sexy Love Affair」、アルバム中一番のキャッチーさを誇るポップチューン「Lullaby」と、前半は流行を程よく取り入れたキャッチーなアップナンバーで占められています。特に「My Sexy Love Affair」はGirls Aloudっぽいサウンドで面白いと思うし、「Lullaby」はシングルカットできそうなくらいキャッチーでツボ。

そして後半からは聴かせるタイプのミッド~バラードナンバーが中心で、Toby GadプロデュースのToby節が炸裂しまくった王道ポップバラード「You Are the One」、その名の通りナチュラルな歌声が活きたバラード「Natural」、軽やかなビートで突き進むミッド「Raw」、ドラマティックなオーケストラサウンドを奏でるシリアスなバラード「Rumors」、William Orbitプロデュースの穏やかなミッド「Unbroken」、そして超王道を行く壮大なゴスペルバラード「I'll Make A Man Out Of You Yet」でアルバムは〆。キャッチーだった前半とは違い、派手さはないけれど、時代を選ばない普遍性があります。

プロデューサーの顔ぶれからして、どんな路線で行くのか未知数だったNadineソロでしたが、蓋を開けてみれば、R&Bからロック、エレクトロからアコースティックまで、意外にもバラエティ豊かで幅広い内容。CherylがBritney SpearsやRihannaらのような自ら素材に徹するポップアイコンであるのなら、NadineはKelly ClarksonやLeona Lewis、Jordin Sparksらのような正統派のディーヴァ然とした路線なのでしょう。また、楽曲だけでなくNadineのヴォーカルの方も、単に声を張り上げるだけでなく、ウィスパーボイスやファルセットなど、これまた意外にも(失礼!)表現力に幅があり、Girls Aloudではなかなか聴けなかった彼女のヴォーカリストとしての実力がこのアルバムで発揮されているように思えます。音的には特に新鮮味があるわけでもなく、あくまで優等生的ではあるけれど、Nadineの(グループでは出来ない)ソロでやりたかったことが聴き手によく伝わるような、一本筋の通った内容で好感が持てました。

16.11.10

Shakira - The Sun Comes Out


01. Sale El Sol
02. Loca (Feat. Dizzee Rascal)
03. Antes De Las Seis
04. Gordita (Feat. Residente Calle 13)
05. Addicted To You
06. Lo Que Más
07. Mariposas
08. Rabiosa (Feat. Pitbull)
09. Devoción
10. Islands
11. Tu Boca
12. Waka Waka (This Time For Africa) K-Mix

Shakiraのニューアルバム「The Sun Comes Out (原題: Sale El Sol)」。本作は元々前作「She Wolf」と同時期に制作されていたアルバムで、先に発表となった「She Wolf」から丁度1年後に満を持してのリリースとなります。本作は(US盤は)スパニッシュ曲が8曲、英語曲が4曲と、バイリンガルアルバムとなっていますが、日本盤はボーナストラックに、輸入盤にも収録されている本編収録曲のSpanish Version3曲に加えて、US盤「She Wolf」のみ収録されていたTimbalandとのコラボナンバー「Give It Up To Me」、客演にKid Cudiを迎えたRemix「Did It Again (Feat. Kid Cudi)」、FIFAワールドカップの公式テーマソングだった「Waka Waka (This Time For Africa) (Feat. Fleshlyground)」の3曲が追加収録されています。値段は張りますが購入するなら曲数最多の日本盤がお薦め。

本作のテーマはまさしく、ラテンポップ/ポップロックへの原点回帰でしょう。そしてその原点回帰を象徴する楽曲が、本作からの先行シングル「Loca」。UKのグライムラッパーDizzee Rascalを客演に迎えたこの曲は、これぞShakiraと言うべきキャッチーでノリの良いラテンポップナンバーで、単純な2ビートとひたすら「Loca!」と繰り返す掛声など、キャッチーながら中毒性を併せ持った楽曲でもあります。ライナーノーツ曰く、この曲の特徴である2ビートは「メレンゲ」というラテンのジャンルから来ているらしく、また、この曲以外にも「Gordita」「Addicted To You」「Rabiosa」など、本作はメレンゲの要素を取り入れたラテンポップナンバーが多数収録。取り分けキャッチーで軽快なフックを聴かせる「Addicted to You」と、Pitbullとの掛け合いがエロティックな「Rabiosa」は、本作でも特に白眉の出来。

さらに自然体でアコースティックなタイトル曲「Sale El Sol」を筆頭に、同じくアコースティックなミッドチューン「Mariposas」など、シンガーソングライター然としたアコースティックな楽曲もあり、終盤以降は荒々しいミッドテンポのロックナンバー「Devoción」、The xxのカヴァー曲「Islands」、サビで「お酒取って~♪」と空耳が聞こえるハードなロックナンバー「Tu Boca」、レゲトン風だった原曲からロックバージョンへと変貌を遂げたピースフルな「Waka Waka (This Time For Africa) K-Mix」と、バンドサウンドを基軸としたShakiraらしいポップロックナンバーもふんだんに収録。

また、久々となるバラードナンバーも収録されていて、盟友Lester Mendezとの共作曲であり、オリエンタルな音色を取り入れた素朴なバラード「Antes De Las Seis」と、ピアノとストリングスによって演奏された儚く美しいバラード「Lo Que Más」がそれに当たりますが、アルバム中特にこれらの楽曲ではShakiraの持つメロディメイカーとして、またはボーカリストとしての才能が遺憾なく発揮されているように思います。セクシーなダンスパフォーマンスからして、一般的にはアップテンポなイメージが強いであろうShakiraですが、切なく歌い上げるようなバラードにも名曲が多いんです。

1曲1曲が2~3分台と短く、ボートラを除くと全12曲37分弱と非常にコンパクトな仕上がり。前作がトレンドのエレクトロを取り入れた冒険作だとしたら、本作こそがまさしく「ファンの求めるShakira」が反映されたアルバムなんでしょう。陽気でカラッとしたラテンポップ/ポップロックな内容からして、名作「Laundry Service」を髣髴とさせる構成ではありますが、それと同時に新しさや現代的な作りを感じさせてくれるポップアルバムですね。バラエティ豊かながら統一感もあるし、とても聴きやすいので、ラテンが苦手な方でも聴けると思います。お薦め!!

10.11.10

Cheryl Cole - Messy Little Raindrops


01. Promise This
02. Yeah Yeah (Feat. Travie McCoy)
03. Live Tonight
04. The Flood
05. Amnesia
06. Everyone (Feat. Dizzee Rascal)
07. Raindrops
08. Hummingbird
09. Better to Lie (Feat. August Rigo)
10. Let's Get Down (Feat. will.i.am)
11. Happy Tears
12. Waiting

もはや「Girls Aloud」という枠に収まらず、世界的な名声と知名度を獲得した感のある英国のポップアイコンCheryl Cole。そんな彼女の通算2枚目のソロアルバム「Messy Little Raindrops」が今月1日にUKでリリースされました。去年発のソロデビューアルバム「3 Words」の大ヒットから間一髪入れずに発表された本作ですが、前作ではエクゼクティブ・プロデューサーを務め、アルバムの大半の楽曲を手掛けていたwill.i.amとのコラボレーションは今回2曲のみに留めており、逆に大ヒットシングル「Fight For This Love」のプロデューサーであるWayne Wikinsが本作中5曲を手掛けるなど大々的に起用。他にも今作でCherylとの初顔合わせとなるStarsmith、Free School、Al Shax、
J. R. Rotem等の気鋭プロデューサーに加え、さらにDizzee Raccal、Travie McCoyらメインストリームで活躍する人気ラッパーを客演に迎えるなど、制作陣を一新。前作以上に力の入った(お金を掛けた)プロダクションとなっています。

そのWayne Wikinsのプロデュースによる本作からの先行シングル「Promise This」は、「アーロエットエットエット♪」という呪術的なフレーズが癖になってくる高速エレクトロアップナンバー。非常にインパクトの強い楽曲ですが、「Ray Of Light」期のMadonnaを思わせる流麗でアンビエントな音作りであることもあり、ぶっ飛んだ曲調ながら気品を感じさせるところはさすが。この1曲にしてやられちゃいました。アルバムにはこの曲以外にも、Starsmithが手掛けたグリッター感溢れるキャッチーなエレクトロダンスチューン「Yeah Yeah (Feat. Travie McCoy)」を始め、「ディランダンダンディリランダン♪」というフレーズがこれまた癖になってくるオルタナティブロック風の「Live Tonight」、00年代前半辺りで流行ったような中近東系アップ「Amnesia」「Everyone (Feat. Dizzee Rascal)」、フィルターハウスタッチな「Let's Get Down」、トランシーなクロージングナンバー「Waiting」など、フロアに対応した多種多様なダンスナンバーがメインに収録。

また、前作には無かった正統派のR&Bミッド~バラードナンバーが本作には数多く収録されていて、特に2ndシングルに予定されている正統派のドラマティックなパワーバラード「The Flood」は一際クオリティが高く、サビで聴けるCherylの張り上げ歌唱が新鮮で良かったです。他にもタイトルトラックとなる開放的なアコースティックバラード「Raindrops」、オルゴール風のウワモノが可愛らしいガーリィなR&Bミッド「Hummingbird」、August Rigoなる男性シンガーをデュエットに迎えたユル系R&Bミッド「Better to Lie (Feat. August Rigo)」、マーチングバンド風のビートを取り入れたスケールの壮大な「Happy Tears」など、Cherylのヴォーカルに焦点を当てた楽曲が収録されています。

前作は独特でアーティスティックな世界観を押し出したアルバムでしたが、予想通り本作はエレポップから中近東系、R&Bに正統派のバラードまで、色んなタイプの楽曲が取り揃えられていて、よく言えば「バラエティ豊か」、悪く言えば「とっ散らかっている」と言えばいいんでしょうか。楽曲の方は決して出来は悪くないんですが、よりメインストリームを意識している分、USのヒット曲の二番煎じ的なトラックが多くてちょっとつまらないなーと。どんな時でも気軽に楽しめる聴きやすいアーバンポップアルバムであると思う反面、個性が無くなった分何か物足りなさを感じる作品。もちろんこれはこれで良いと思うけど、個人的には前作のような、もっと革新的で突き抜けたものを期待していただけに残念ですね。ちょっと辛口になってしまいましたが、今の所そんな感想かな、と。今後のシングルヒットに期待します。