22.12.12

2012's Singles Best 30-01

年末ですねー。例年通り、今年もこの記事を書く時がやってまいりました。完全に亀更新のブログと化してますが、これだけは年内に書いておきたい!という気持ちは変わりませんw 今年はシングルもアルバムも中々粒ぞろいだったので、シングル部門&アルバム部門それぞれ2つに記事を分けて発表していこうと思います。

というわけでまずはサラッとシングルベスト30-21から。↓


#30 StooShe (Feat. Travie McCoy) - Love Me
#29 Cassie - King of Hearts
#28 Emeli Sandé - My Kind of Love
#27 JLS - Hottest Girl in the World
#26 Calvin Harris (Feat. Florence Welch) - Sweet Nothings
#25 Adele - Rumour Has It
#24 P!nk - Blow Me (One Last Kiss)
#23 Marina and the Diamonds - How to Be A Heartbreaker
#22 Ellie Goulding - Anything Could Happen
#21 Katy Perry - Part of Me

これはおまけなので、敢えて解説は省きますw
続いて20-01まで一気に紹介。長いので以下「続きを読む」からどうぞ。

7.12.12

Little Mix - DNA


01. Wings
02. DNA
03. Change Your Life
04. Always Be Together
05. Stereo Soldier
06. Pretend It's OK
07. Turn Your Face
08. We Are Who We Are
09. How Ya Doin'?
10. Red Planet (Feat. T-Boz)
11. Going Nowhere
12. Madhouse
13. Love Drunk
14. Make Your Believe
15. Case Closed
16. DNA (Unplagged)

去年のX-Factor UKの優勝者である新人ガールズグループ、Little Mixのデビューアルバムが到着しました。画像左上から時計回りにメンバーを紹介すると、Jesy、Leigh-Anne、Jade、Perrieの4人で、メンバーの中で一番歌が上手いのがブロンドのPerrieらしいです。ガールズグループと言えば、私、グループの存在を知ってからすぐにメンバーの顔と名前が覚えられるんですが、彼女らに関しては未だにメンバーの顔と名前と声が一致しないのでちゃんと覚えられるよう頑張ります。本作には、豪華ソングライター&プロデューサー陣が集結していて、特に目を見張ったのが、女性ソングライター陣の充実っぷり。Cathy Dennis、Ina Wroldsenらアイドルご用達のソングライターから、Ester Dean、Priscilla Reneaらアーバン勢、はたまたT-Boz(TLC)、Shaznay Lewis(All Saints)、Nicola Roberts(Girls Aloud)ら先輩ガールズグループのメンバーまでが楽曲提供(T-Bozに至っては客演で参加)と、ガールポップファンのツボを抑えた人選となっています。多数の女性アーティスト&ソングライターを起用した辺りは、プロデューサー(サイモンのことねw)の拘りのような気がします。ちなみに去年リリースされたデビューシングル「Cannonball」ですが、例年なら優勝者のデビューシングルは(ボートラ扱いで)必ずアルバムに収録されていたのに、彼女らのアルバムに限っては何故か未収録となっている模様です。X-Factor恒例のつまんないカバーだから別にどうでもいいけど。

アルバムからの正式な1stシングルは「Wings」。Beyoncé系統のド派手なマーチングビートとホーンセクションを下地に力強い歌唱を乗せたキャッチーで弾けたアップナンバで、全英1位も獲得済み。これは聴いてすぐBeyoncéを思い浮かべた!しかも、Beyoncéみたいにトラックに無理やりメロディーを捻じ込んだ感ありまくりな強引さもなく(笑)(いや、これはこれで大好きなんだけどね) 完璧に作り込まれたトラックとボーカルワークで、ポップスとしての完成度が非常に高いです。初聴きした瞬間、この曲に惚れました(笑) とにかく聴いてて楽しいキャッチーな曲ですね。そして2ndシングルは本作のタイトル曲でもある「DNA」。「Wings」とは打って変わって、ダブステップの影響を受けたであろう重みのあるエレクトロトラックと、ピコピコしたウワモノが鳴り打つサイバーなミディアムアップとなっています。「Wings」に続いてこれまたツボな曲で、特に低音の効いたトラックが良い!ブリッジの大仰さもイイw この2曲だけでもアルバムに期待できるくらいのポテンシャルの高さを感じました。

そしてアルバムの方はと言うと、どっしりとした力強いパワーバラード「Change Your Life」、清涼感溢れる爽やかでメロディアスなミッドバラード「Always Be Together」、「Wings」と同路線のBeyoncéテイスト迸るキャッチーなマーチング系アップ「Stereo Soldier」、Leona Lewis系統のドラマティックでシリアスなバラード「Pretend It's OK」、ピアノ弾き語りのシンプルな伴奏に4人の抜群のハーモニーを聴かせる真髄なビッグバラード「Turn Your Face」、若干Ke$haっぽさも感じられるバウンシーでカラッとしたポップロックナンバー「We Are Who We Are」、90'sフレイヴァー香るヒップなR&Bナンバー「How Ya Doin'?」、T-Boz(TLC)を迎えたロッキッシュで妖しげなR&Bナンバー「Red Planet」、Girls AloudのNicola Robertsがソングライティングに参加したアンニュイなアコースティックバラード「Going Nowhere」、本編ラストでまさかのインパクト勝負な四つ打ちアップ「Madhouse」など、キャッチーでノリの良いポップチューンから歌唱力を活かしたバラードまで、全編に亘って王道ポップスを聴かせてくれています。またボートラの方も、シャッフルビートが炸裂するキュートなアップ「Love Drunk」、パワフルな歌唱が聴ける重厚なロックナンバー「Make Your Believe」、哀愁漂うR&Bバラード「Case Closed」など、アルバム本編に負けず劣らずのクオリティーとなっています。

先行2曲のクオリティの高さに負けず劣らず、ガールパワー全開のキャッチーで親しみやすいポップス満載のアルバム。EDM全盛期な中、今時珍しいくらいに温故知新な王道UKポップスが詰ってます。遊び心のあるユニークなアップと正統派のメロディアスなミッド~バラードが交互する内容は、同じX-Factor出身であるLeona LewisとCher Lloydの良い所をそれぞれ足して2で割った、と言うような印象でした。Cher的な遊び心も感じさせつつも、基本的には4人の歌唱力とコーラスワークを活かした楽曲が多めですね。コーラスワークも聴き応えあるし、何より4人とも歌が上手い!流行に媚びたEDM路線を敢えて無視してる所も好感度が高かった。ただ、逆に言えば、ちょっと優等生的というか、先行2曲ほどの尖鋭さというか刺激が思ったよりアルバムには足りなかったかなーという感じはしましたね。まあ、デビューアルバムだから多少は優等生的になっても仕方ないかな、と思うけど。それを差し引いても、アルバムとしての完成度は高いと思うし、ガールズグループのデビューアルバムとしては上出来ではないかと思います。これからに期待!!

12.10.12

Ellie Goulding - Halcyon


01. Don't Say a Word
02. My Blood
03. Anything Could Happen
04. Only You
05. Halcyon
06. Figure 8
07. Joy
08. Hanging On
09. Explosions
10. I Know You Care
11. Atlantis
12. Dead in the Water
13. I Need Your Love (Calvin Harris feat. Ellie Goulding) *
14. Ritual **
15. In My City **
16. Without Your Love **
17. Hanging On (Feat. Tinie Tempah) **
18. Lights (Single Version) **

Ellie Gouldingのニューアルバム「Halcyon」がリリースされました。フォークトロニカ(エレクトロとフォークミュージックの融合)という名目で2010年に発表されたデビュー作「Lights」は全英1位にチャートインし、ダブルプラチナを獲得。アメリカでもシングル「Lights」が徐々に売り上げを伸ばし、シングルリリースから1年以上もの月日を経て、今年ついに全米2位を獲得。この曲のヒットをきっかけに、名実共にトップアーティストの仲間入りを果たすことになりました。なお本作のメインプロデューサーにはKylie Minogue「2 Hearts」などをプロデュースしたUK発のエレクトロポップユニット、Kish MauveのJim Elliotがアルバムの大半の楽曲をプロデュース。また、Ellie本人も積極的にプロデュースに関わり、Starsmithの全面プロデュースだった1stからガラリとイメージが変わり、彼女の意向も十分反映された作風に仕上がっているであろうと思います。ちなみに今回紹介するのはUS版Deluxe Editionですが、例によって国ごとに収録内容が違うバージョンがリリースされているので、Wikipediaなんかでトラックリストを確認しながら購入することをお薦めします。

まず、アルバム発売前に最初に公開されたのが、無料ダウンロードシングルとして先行リリースされた「Hanging On」。この曲はActive Childなるアーティストのカヴァーで、客演にUKのラッパー、Tinie Tempahが参加。ずっしりとした重厚なダブステップトラックにEllieの繊細なファルセットが乗っかった幻想的なバラードとなっています。ちなみにアルバム本編にはTinie Tempahのパートを抜かしたソロヴァージョンが収録されているんですが、個人的にはラップ無しの方が雰囲気あって好きかなーと。この曲、あんまりラップ似合ってない気がするし...。そして、正式に公開された1stシングル「Anything Could Happen」は、80年代風のエレクトロトラックにEnya的な神秘性を足したミッドナンバーで、「ヒーヒーヒーヒーーヒー♪」というエフェクト処理されたサビが斬新に耳に残る不思議な楽曲です。決してシングル向きの派手さは無いし、売れ線の曲とはちょっと違うけど、聴けば聴くほど癖になっていくタイプの曲ですね。そしてそんなマニアックな楽曲でも2週連続で全英5位を記録とまずまずの結果を出し、2枚目のジンクスなど吹き飛ばすEllieのアーティストパワーを見せつけてくれました。ただ、Videoはちょっと怖い...w 突然垂れてきた鼻血の下りで何事かと思いきや...w 何か「死」というか「天国」というか、そういう言葉を暗示させるようなVideoなのかなぁと思ってます。

そしてアルバムの方は、ダイナミックなドラムビートと呪文を唱えるようなヴォーカルが聴く者をアルバムの世界に誘う壮大な「Don't Say A Word」、広がりのあるメロディアスなサビが美しいパワーバラード「My Blood」、延々とループする四つ打ちビートにFlorenceやLykke Li辺りを彷彿とさせる土着的な音作りが融合した摩訶不思議なアップ「Only You」、アルバムの表題曲であり儚さと切なさを携えて颯爽と駆け抜けるアップ「Halcyon」、サビで突然ダブステップ調に転調するなど静と動を行き来する狂気的なミッドナンバー「Figure 8」、アコースティックで静かな導入部から徐々に盛り上がる壮大なバラード「JOY」、ピアノとストリングスによる厳かな雰囲気を纏ったシアトリカルなバラード「Explosions」、静かな哀しみと孤独感を帯びたピアノバラード「I Know You Care」、幻想的なサウンドに乗せて美しいファルセットを聴かせるPre Chorusからサビで一気に爆発するパワーバラード「Atlantis」、ビートを一切排除したアンビエントなエレクトロニカサウンドによってEllieの歌声に焦点を当てた本編ラストの幻想的なバラード「Dead in the Water」、ボートラとして収録されたEllie客演によるCalvin Harris名義のエレクトロハウスナンバー「I Need Your Love」などが収録。また、DX盤のみ収録のボートラの方はと言うと、パーカッシブなビートに妖しげな電子音を配したアップナンバー「Ritual」、比較的1stの路線に近い爽やかなポップソング「In My City」、アフリカンな要素も感じるキャッチー&トライバルなダンスチューン「Without Your Love」、Tinie Tempah参加バージョンの「Hanging On (Feat. Yinie Tempah)」、別に再収録してもらわなくても良かった気がする御存じ大ヒット曲「Lights」と、盛りだくさんの内容。

前半はシングル向きのキャッチーで分かりやすい楽曲が中心で、後半は聴かせるタイプの少し難解なバラードが中心という分かりやすい構成のアルバム。前作「Lights」はフォークミュージックの要素を足したキャッチーなエレクトロポップと言った感じでしたが、今回はよりSSW的な音作りとメロディーメイキングが目立っていて、彼氏(Skrillex)の影響も入ってるのかダブステップを取り入れた楽曲も多く、全体的に重厚で壮大なミッド~バラードが中心となっています。また、1stと比べるとキャッチーさは影を潜め、よりダークでアーティスティックな方向性を強く押し出そうとした作品という印象ですね。Ellieのボーカルも曲ごとに色んな歌い方を試しているような感じで、消え入りそうな繊細なファルセットから叫ぶように声を張り上げた絶唱まで聴けて、1stに比べて格段に表現力が上がったなぁと。と、この辺は好印象でした。ただ、悪く言えば大人しすぎるというか地味というか、印象に残りやすい曲が1stに比べて若干少ないですね。最初の5曲までは聴き応えあると思うんですが、それ以降がちょっと似たようなバラードばかり続いてメリハリに欠ける構成かなぁーと。1曲1曲は決して悪くは無いと思うんですが...。アルバム通して聴くとなると、ちょっとキツイかなぁと。あと、彼女は声質的にもっとポップな曲の方が似合うと思うんですけどねー。無理してFlorence的なアーティスティック路線に進まなくても...とか思っちゃいました。もう少し聴き込めば良さが分かるんだろうけど、今の所1stの方が断然好きですね...。と言うわけで、すみません。あえて厳しい評価にしました。

11.10.12

P!nk - The Truth About Love


01. Are We All We Are
02. Blow Me (One Last Kiss)
03. Try
04. Just Give Me A Reason (Feat. Nate Ruess)
05. True Love (Feat. Lily Rose Cooper)
06. How Come You're Not Here
07. Slut Like You
08. The Truth About Love
09. Beam Me Up
10. Walk of Shame
11. Here Comes the Weekend (Feat. Eminem)
12. Where Did the Beat Go?
13. The Great Escape
14. My Signature Move *
15. Is This Thing On? *
16. Run *
17. Good Old Day *
18. The King Is Dead But the Queen Is Alive **

世界の兄貴姉御こと、P!nk姐さんが遂にニューアルバムを引っ提げて帰ってきました。デビュー10周年に発売されたベストアルバム「Greatest Hits...So Far!!!」から2年ぶり、オリジナルアルバムとしては前作「Funhouse」から4年ぶりの新作となります。元旦那との復縁、出産を経てからリリースされた本作ですが、本国アメリカではキャリア初の全米1位を獲得&初動最高売り上げを達成と、公私ともに絶好調の彼女。制作陣には、近年のアルバムでもガッツリ組んでるButch WalkerやMax Martin、Billy Mannら盟友らに加えて、女性ポップスを得意とするGreg Kurstinや、Jeff Bhasker(Kanye West、Alicia Keys)、Emile Haynie(Kid Kudi、Lana Del Rey)、DJ Khaili、(Eminem、50 Cent)らアーバン畑のプロデューサー陣も起用。今回も彼女らしい人選で新旧多数のプロデューサーを迎えています。また、本作はP!nkにしては珍しく客演が多く、以前も共演経験のあったEminemを筆頭に、Nate Ruess(Fun.)、Lily Rose Cooper(Lilly Allen)と、絶妙なゲストを迎えています。

アルバムからの1stシングルは、P!nkのハイトーンヴォイスが冴えわたるちょいレトロなダンスロックナンバー「Blow Me (One Last Kiss)」。最近のP!nkと言えば、1stシングルにキャッチーでおバカなノリの曲を持ってくる傾向があると思うのですが、今回の曲はP!nkらしいキャッチーなポップロックでありながらエレクトロの要素もあり、またちょっとだけ哀愁感もあって、若干テイストを変えてきたかな?という印象です。ファーストインパクトはそれほど強くなかったけど、後からじわじわ効いてくる感じの曲ですね。プロデュースはGreg Kurstinですが、何となくSiaの「We Are Born」(同じGreg Kurstinプロデュース作)に入ってそうなノリの曲だな―と思いました。続いて2ndシングルとしてカットされたのは、P!nk鉄板のシリアスな哀愁ロックバラード「Try」。Aメロの淡々としたパートからサビで爆発する展開が圧巻ですが、個人的には単調で少し物足りないかなーと。ラストのサビメロ出だしは凄くゾクゾクするけど...!好きな曲だけど、ちょっと惜しい!ちなみにVideoはP!nkと相手役の男性がプロレス合戦しまくるという、シリアスなんだか笑いを取ってるんだか何かよく分かんないけどとにかく壮絶な内容となっていますので必見です。

オープニングを飾るにはインパクト抜群のプログレッシブなロックナンバー「Are We All We Are」、Fun.のヴォーカリストであるNate Ruess参加の、いかにもFun.の曲と言った感じのしんみりデュエットソング「Just Give Me A Reason」、Lily Allen改めLily Rose Cooperがキュートなウィスパーヴォイスで参加した和やかなポップソング「True Love」、三連ビートのノリノリなロックナンバー「How Come You're Not Here」、ファンキーに弾けたギターサウンドが爽快なヤリ○ンソング「Slut Like You」、タイトル曲でありながらコミカルで気の抜けた曲調の「The Truth About Love」、アコギとストリングスをバックにしっとり聴かせるバラード「Beam Me Up」、朝帰りでボロボロな身なりの恥ずかしさを歌った疾走感溢れるロックナンバー「Walk of Shame」、Eminem×P!nkの二大兄貴のコラボによる、さながらプロレスの入場曲のような男気溢れる曲調の「Here Comes the Weekend」、久しぶりに初期のR&B的な側面をちょっとだけ感じさせるシリアスな「Where Did the Beat Go?」、ピアノとストリングスのゴージャスな音色にP!nkの情感溢れるヴォーカルが乗った美しいバラード「The Great Escape」と、P!nkらしいキャッチーなロックナンバーを中心にアップからバラードまで相変わらず幅広い内容で楽しませてくれます。

また、ボーナストラックの方を紹介すると、Katy Perryが歌いそうな溌剌としたダンスロックチューン「My Signature Move」、こちらもダンスビートを取り入れつつも哀愁を帯びたミッドナンバー「Is This Thing On?」、切なくも力強い歌唱を聴かせるパワーバラード「Run」、某Florence嬢の某曲を彷彿とさせる陽気なポップソング「Good Old Day」、日本盤のみ収録のこれぞP!nkと言うべき痛快なロックナンバー「The King Is Dead But the Queen Is Alive」と、本編よりも若干既聴感漂うキャッチーで覚えやすい楽曲が揃っています。さらに、iTunes Onlyのボーナストラックに「Chaos & Piss」と「Timebomb」という楽曲がありまして、前者はAdeleテイストのしっとりソウルバラードで、後者はP!nk真骨頂のキャッチーで勢いのあるポップロックナンバーと、どちらもクオリティの高い出来なので、そちらもチェックしてみると良いかもです。

総合すると、前作、前々作までにあったセツナ系路線(「Who Knew」や「Sober」、「Please Don't Leave Me」など)は影を潜め、全体的にイケイケ&アゲアゲなロックナンバーで占められています。ロック色が強いという共通点からして、今までのアルバムに例えると、3rd「Try This」に近い出来ですかね。とにかく聴いてて気分が盛り上がる様なアッパーチューンが多く、おバカ路線のP!nk姐さんが好きな人はかなり楽しめるんじゃないかなーと。ただ、逆に言うとバラードが少ないので、その辺が若干物足りないですね。個人的にセツナ系のP!nkが好きなので、このアルバムは正直ちょっと微妙な印象でした。「Try This」ほどロックに振り切ってるわけじゃないし、何処か中途半端な印象を受けたので。あと歌詞の方もアルバムタイトルの示す通りラブソングが多く、P!nkらしいメッセージ性の強い歌詞が少なかったのがちょっと残念かな。ただ、聴いてるうちにこれはこれでアリだと思うようになったので、何も考えずに楽しむのが一番かも?というのが、今の所私の中での評価ですね。しかし、普通のアーティストなら10年以上活動してると、そのうち何処かで勢いが衰えるものなのに、彼女の場合衰える所か勢いが増していく一方なのが凄い。いつまでも人気者でいて欲しい!!

20.9.12

Nelly Furtado - The Spirit Indestructible


【Disc.1】
01. Spirit Indestructible
02. Big Hoops (Bigger The Better)
03. High Life (Feat. Ace Primo)
04. Parking Lot
05. Something (Feat. Nas)
06. Bucket List
07. The Most Beautiful Thing (Feat. Sara Tavares)
08. Waiting for the Night
09. Miracles
10. Circles
11. Enemy
12. Believers (Arab Spring)

【Disc.2】
01. Hold Up
02. End of the World
03. Don't Leave Me
04. Be OK (Feat. Dylan Murray)
05. Thoughts (Feat. The Kenyan Boys Choir)
06. Thoughts (Feat. The Kenyan Boys Choir) (Tiësto Remix)
07. End Game
08. Soak It Up

私の大好きなNellyちゃんのニューアルバムが遂にリリースされました。ラテンアルバムだった前作「Mi Plan」から3年ぶり、英語アルバムとしては大ヒットした名作「Loose」以来6年ぶり(!!)の新作に当たる本作。「Mi Plan」のライブツアー後、ポップシンガーとしての表舞台を退くことを考えるくらい行き詰ったらしいNellyちゃんですが、そんな葛藤を乗り越え、また皆を楽しませるポップミュージックを作りたいという思いから本作が生まれたそうです。アルバムの制作陣には、最多で8曲を手掛けたR&BプロデューサーRodney Jerkinsを始め、「Mi Plan」やベストアルバム収録の「Night Is Young」に引き続き続投となるSalaam Remi、Lana Del ReyやMarina and the Diamondsら個性派SSWを手掛けたRick Nowels、UK出身のベテランFraser T. Smithらを起用。「Loose」では当時ノリにノってたTimbaland&Danjaらが全面プロデュースを担当していましたが、本作もアーバン畑のプロデューサーが中心となっている分、本作もR&B/ヒップホップのエッセンスが強いのではないかと思います。そんな本作ですが、今回発売国によって内容が多少異っているため、私は全世界中最多収録である2枚組仕様の日本盤(輸入DX盤と同内容+α)を購入。2980円というぼったくり価格ですが、ライナー&対訳も付いているので、Nellyちゃんファンの方は日本盤の購入がお薦めです。

1stシングルは「Big Hoops (Bigger The Better)」。低音の効いたヒップホップ色の強い摩訶不思議なアップナンバーで、最初聴いた時「??????」って感じでしたが、「ビガザベガザビガザベガザ」という呪文のようなパートといい、アウトロでいきなりドラムンベースに転調したりといい、聴いてるうちに癖になりハマってしまいましたw。これはスルメソングですね。2ndシングルはアルバムの表題曲である「Spirit Indestructible」。厳かなイントロから力強いビートが鳴り打つベースポップ調のアップナンバーで、非常にキャッチーでインパクトの強い曲。また、コロコロ転調する曲調や、「A E I O U」とこれまた呪文のようなパートなど、「Big Hoops」同様、聴いてて癖になる要素が満載。この曲は聴いてすぐに気に入りました!歌詞の方は「私はどんなことにも決して折れたりしない。不屈な精神の持ち主だから」と自身を鼓舞するメッセージソングとなっていて、葛藤を乗り越えた今の彼女だからこそ歌える曲なのかな、と思いました。聴いてて勇気づけられるというか、元気になれる曲です。3rdシングルは先日Videoが解禁された「Parking Lot」で、BEP「My Humps」的な今風ヒップホップビートに南国チックなピースフルな雰囲気が融合したアップナンバー。この曲はアウトロでの転調とか、Videoのダンスシーンが気に入ってます。これもスルメソングの予感。

そしてアルバム本編に当たるDisc.1ですが、チェンバーポップ風の気の抜けたサウンドとは裏腹に名声を得た後の人生の変わりようを皮肉たっぷりに歌った「High Life」、Nasを客演に迎えた妖しげなチャカポコ系ヒップホップチューン「Something」、アコギのリフが疾走感を放つフォーキーなアップナンバーで「Folklore」路線を彷彿とさせる「Bucket List」、ゆったりした浮遊感のあるサウンドが心地いいR&Bミッド「The Most Beautiful Thing」、異国情緒漂うキャッチーな哀愁四つ打ちダンスチューン「Waiting for the Night」、オリエンタルな音色が雅なR&Bミッド「Miracles」、80's風のキラキラした音作りのR&Bミッド「Circles」、自分自身が最大の敵というリリックが印象に残る壮大で厳かなバラード「Enemy」、アルバム本編ラストを締め括るスケールの壮大な勇ましいロックナンバー「Believers (Arab Spring)」など、彼女らしい世界各国の音楽の要素を取り入れたジャンルレスな音作りとなっています。

また、Disc.2に収録されているボーナストラックの方を紹介しますと、ノイジーなギターサウンドが炸裂する「Hold Up」、Coldplay風のメロディアスなピアノロックバラード「End of the World」、ルーツレゲエに挑戦した「Don't Leave Me」、Dylan Muurayなる同郷カナダ出身の男性SSWとデュエットしたオーソドックスなビッグバラード「Be OK」、ケニア少年合唱団のコーラスをフィーチャーしたシンプルなサウンドの「Thoughts」、そのRemixバージョンでビートやウワモノなど若干音数が増えた「Thoughts (Feat. The Kenyan Boys Choir) (Tiësto Remix)」、レトロに聴かせる物悲しいスロウナンバー「Be OK」、スパニッシュテイストなアップ「Soak It Up」など、こちらもジャンルレスな内容。本編よりもバンドサウンド寄りの音作りで、若干ミッド~スロウテンポの聴かせるタイプの楽曲が多いかな、という印象でした。

基本的には「Loose」と同じく、R&B/ヒップホップのエッセンスを取り入れたアーバンポップ色の強い内容で、Nellyちゃんの音楽性の特徴である、尖鋭なビートと様々なジャンルの音楽を組み合わせたハイブリットな音作りは健在。1曲1曲が粒揃いで、アルバムとしてのトータルの完成度も非常に高いです。しかし、今の流行を追った曲は皆無。もちろんエレクトロも無し。始めからヒットを狙うことを考えずにのびのびと作ったかのような、自由度の高いNelly Furtadoらしいアルバムとなっています。良くも悪くもとても彼女らしいアルバムである半面、おそらく過去のアルバム程のセールスは期待できなさそうな予感...。実際、同時発売のP!nkやKillersの新作と比べると、それほど売れていないみたいだし、シングルの方も一部の国を除けば殆どヒットしておらず...。しかし、それでもNelly Furtadoの音楽が好きな人にとっては間違いない仕上がりのはず!!私だってこのアルバムは好きだし、別に売れなくても気にしません(笑)。ただ、アッパーな曲が多いので、強いて言うなら「Try」とか「All Good Things」みたいなメロディアスなバラードが1曲ぐらい欲しかったかなーと。まあ、それを加えたとしても、アルバムの出来に特に文句はありません。長いブランクを物ともせず、今回も素晴らしいアルバムを届けてくれたので良かったです。流行を無視して自分を貫き通すNellyちゃんをこれからも私は応援したい!というわけで、Nellyちゃんバンザイ!!(どんな締め方だ)

28.6.12

Cheryl - A Million Lights


【Disc.1】
01. Under the Sun
02. Call My Name
03. Craziest Thing (Feat. will.i.am)
04. Girl in the Mirror
05. A Million Lights
06. Screw You (Feat. Wretch 32)
07. Love Killer
08. Ghetto Baby
09. Sexy Den A Mutha
10. Mechanics of the Heart
11. All Is Fair

【Disc.2】
01. Boys Lie
02. One Thousand
03. Telescope
04. Last One Standing
05. I Like It
06. Make You Go
07. Dum Dum
08. Teddy Bear

イギリスの誇るスーパーセレブことCherylたそのニューアルバムがリリースされました。2010年発の前作「Messy Little Raindrops」から約1年8か月ぶりのリリースとなります。本作は全11曲収録の通常盤に加えて、ボートラ4曲を追加収録した全15曲収録のDX盤、さらに4曲ボートラを追加した全19曲収録の2枚組(+ポストカード付き)Boxsetの3形態でのリリースがされており、私はオフィシャルサイトでのみ購入できる豪華Boxsetを注文したので、こちらの内容で紹介させてもらいます。制作陣には先行シングル「Call My Name」で起用したCalvin Harrisを始め、盟友will.i.am、今年一番の大型新人Lana Del Rey、Eminem×Rihannaの某曲を手掛けた新気鋭のAlex Da Kid、Timbaland一派のJim Beanz、1st以来の再起用となる若干落ち目のTaio Cruzなど、新旧問わず多数の個性派プロデューサー&ソングライターを起用。今回も絶妙な人選でCherylをバックアップしています。

1stシングルは、前述のCalvin Harrisがプロデュースを手掛けたエレクトロダンスチューン「Call My Name」。全英初登場1位&今年最速セールスを叩き出し、彼女の人気の健在さを証明した一曲でもあります。ポップでダンサブルで、尚且つUKらしいメロディアスな要素もある所は流石Calvinと言った所。彼がそのまま歌っても違和感無さそうなくらいCalvin印の曲ですが、Cherylのか弱いハスキーヴォイスとの相性も中々良いんじゃないかな、と。サビよりもAメロ~Bメロの哀愁感がツボ。あとVideoのダサすぎるダンスシーンも見所です。

そんな本作ですが、キュートな鍵盤アレンジが耳を引くゆるやかなミドルポップ「Under The Sun」から幕を開け、will.i.amがプロデュース&デュエットを務めたちょい胸キュンなダブステップミッド「Craziest Thing」、ダブステップテイストを塗しつつもバウンシーなエレクトロダンスナンバー「Girl in the Mirror」、ダークで重苦しい曲調ながら何処か脆さを感じさせるパワーバラード「A Million Lights」、機械的でスリリングなグライム系アップ「Screw You」、サビがBeyoncéの「Radio」にクリソツなダブステップミッド「Love Killer」、Lana Del Reyが楽曲提供&コーラス参加のいかにもLana Del Reyテイストなミッド「Ghetto Baby」、クールな四つ打ちユーロダンスナンバー「Sexy Den A Mutha」、生楽器の音色とゆったりしたビートが心地良いバラード「Mechanics of the Heart」、本編ラストを飾る荘厳さを感じさせるミステリアスなバラード「All Is Fair」と、全体的にダブステップの影響が強いサウンドプロダクションとなっています。

またボーナスディスクの方は、Aメロの妙に張りきった歌い方が笑える尖ったダブステップナンバー「Boys Lie」、キャッチーなフックが耳に残るバウンシーなエレクトロアップ「One Thousand」、ピアノ主体の素朴なバラード「Telescope」、アコギの音色が切なげな導入部からサビにかけて一気にエレクトロ色が増す哀愁四つ打ちダンスチューン「Last One Standing」、往年のTimbalandを思わせる妖しげなR&Bミッド「I Like It」、「アメケアメケアメアメケアメケアメ アオッ!!!」と電波を放つM.I.A.系奇天烈アップ「Make You Go」、アラビアンな曲調で「ダダンダダンダンダダンダダンダン♪」とこれまたM.I.A.っぽい「Dum Dum」、ギターサウンドをベースに繊細な歌唱を聴かせる儚いミディアムバラード「Teddy Bear」と、癖の強いビートの曲が多いながらも、本編よりはいくらかキャッチーで分かりやすい楽曲が揃っています。

1stではダークな世界観で統一されたエレクトロ路線で独自の個性を確立し、逆に2ndでは色んなタイプの楽曲を歌う普遍的なポップスターに徹していた彼女ですが、本作は低音の効いたダブステップ路線が多くを占める、ダークで重々しい雰囲気のアルバムとなっています。ダブステップというジャンルの性質上、ミッド~スロウテンポの楽曲が多いので、、比較的ダンサブルな内容だった1stや2ndが好きだった人にとっては、このアルバムは退屈に感じるのかもしれないです。逆にアルバム中ぶっちぎりでキャッチーな「Call My Name」の浮きっぷりが半端ない(笑)。ただ、海外での今作の評価が散々だったので、聴く前は全く期待して無かったんですが、聴いてみれば意外と出来が良かった...というか結構好印象だったのでビックリしました。ポップでキャッチーな曲は一気に減ったけど、その分今までになかったダークで深みのあるバラードを歌い上げていたり、癖の強い奇天烈ビートを乗りこなしていたりと、聴き所は多い。捨て曲も特に無いしね。少なくとも無難な印象だった前作よりはずっと好きだし、ダブステップに特化した彼女のチャレンジ精神は評価したいです。ただ、「Call My Name」のイメージで聴くと、肩透かし食らうと思うので、試聴してからの購入をお薦めします。聴く人を選ぶアルバムですが、私は支持します!

20.6.12

2012's Half-Year Albums & Singles Best 10

12's Half-Year Albums Best 10 


No.01 Marina and the Diamonds - Electra Heart
No.02 Madonna - MDNA
No.03 Lana Del Rey - Born to Die
No.04 Emeli Sandé - Our Version of Events
No.05 Nicki Minaj - Pink Friday : Roman Reloaded
No.06 Keane - Strangeland
No.07 Scissor Sisters - Magic Hour
No.08 Fun. - Some Nights
No.09 Alexandra Burke - Heartbreak On Hold
No.10 Niki & the Dove - Instinct

12's Half-Year Singles Best 10


No.01 Pixie Lott - Kiss The Stars
No.02 Alexandra Burke (Feat. Erick Morillo) - Elephant
No.03 Madonna - Girl Gone Wild
No.04 Lana Del Rey - Born to Die
No.05 Paloma Faith - Picking Up the Pieces
No.06 Gotye (Feat. Kimbra) - Somebody That I Used to Know
No.07 Ed Sheeran - Drunk
No.08 Chris Brown - Turn Up the Music
No.09 Cheryl - Call My Name
No.10 The Saturdays - 30 Days

15.6.12

Alexandra Burke - Heartbreak On Hold


01. Heartbreak On Hold
02. Elephant (Feat. Erick Morillo)
03. Let It Go
04. This Love Will Survive
05. Fire
06. Between the Sheets
07. Daylight Robbery
08. Tonight (Feat. DJ Smash)
09. Love You That Much
10. Oh La La
11. Sitting on Top of the World
12. What Money Can't Buy
13. Devil In Me *
14. Beating Still *
15. Heartbreak On Hold (Acoustic Version) *
16. Let It Go (Acoustic Version) *

X-Factor出身の歌姫、Alexandra Burkeの新作について。大ヒットした2009年発のデビュー作「Overcome」から、約2年半ぶりのニューアルバムとなります。前作「Overcome」はエレクトロ、R&B、バラード、レトロソウルとバラエティ豊かな内容で、ポップアルバムとしても評価の高い作品でしたが、今作は90年代のダンスミュージックに影響を受けた作風となっているそう。彼女は歌唱力の高さに加えてエンターテインメント性もあるから、そんじょそこらのバラードシンガーと違って、色んなタイプの曲が歌えるのが強みですよね。私の中ではJameliaやAlisha Dixonらと肩を並べるUK女性アーバンポップアクトと認識しています。23歳という若さにそぐわぬ、低く落ち着いたハスキーな歌声も好き。ちなみに今作も例にもれず最近流行りのDX盤商法(※デジタルリリースのみ)に乗っかってのリリースとなっています。私はCDで購入したんですが、ボートラは全部7digitalで補完したので、内容はDX盤の方を紹介させて頂きます(笑)

1stシングルはUS出身のハウス系DJ/リミキサー、Erick Morilloプロデュースによる「Elephant」で、全英3位のヒットを記録。この曲は今までの彼女のイメージを完全に覆した純然たるエレクトロ&ハウスミュージック仕様で、ハウスらしい緩急の効いたスリリングな展開のダンスチューンとなっています。この曲、最初聴いた時衝撃的でしたw ド派手なアレンジなのに、メロ自体は地味目というか落ち着いていて90年代的。そのコントラストが効いたお陰で、非常にクールでカッコいい印象を受ける曲となっています。とにかくこの曲はカッコよくて大好き!!確かにトラック重視の作りで彼女の歌唱力が全く活かされてないと思うけど、でも別に良いんです。カッコいいから。Alexが歌う必要性が無いのは分かってるけど、良いんです(大事なことなのでry)。続く2ndシングルは、アルバムリリース直前に解禁された「Let It Go」。こちらもエレクトロハウス色の強いアレンジのダンスチューンですが、「Elephant」と比べると比較的抑え目で分かりやすい曲調となっていて、「Let it go go go go let it all go」と言ったインパクトのある繰り返しフレーズを使用するなど、キャッチーでメロディアスな作りとなっています。「Elephant」の時と違って、この曲では彼女の高い歌唱力も発揮されていると思うし、少なくとも1stシングルよりは彼女らしさもあって評判良かったんじゃないかな、と思うんですが、肝心のセールスは全く振るわなかったようで、初登場33位と大惨敗\(^o^)/オワタ

そしてアルバムの方はと言いますと、初っ端から「ハァアアアブレイオンホオオオオオオオオオ!!!!!!!」と雄叫び全開のオープニングを飾るのに相応しいパワフルなDIVA系ハウスチューン「Heartbreak On Hold」、ストリングスアレンジが良いアクセントになっている開放感のあるポップソング「This Love Will Survive」、何となくThe Saturdaysが歌いそうなキャッチーなエレクトロアップ「Fire」、温かみを感じさせるメロディアスなR&Bミッド「Between The Sheets」、ドラマティックに展開されるダブステップナンバー「Daylight Robbery」、「Elephant」以上にシンセブリブリの現行エレクトロハウスナンバー「Tonight」、軽快でファンキーな「Love You That Much」、「ラダディ~ラダダ~♪」というLady Gaga的フレーズが飛び出す妖しげなエレクトロアップ「Oh La La」、幻想的な曲調に軽やかなウィスパリングヴォイスがマッチした「Sitting on Top of the World」、アルバム本編を締め括るAlexの歌唱力が際立ったピアノバラード「What Money Can't Buy」、エレクトロサウンドに生音を効果的に取り入れた四つ打ちアップ「Devil in Me」、ボートラ扱いにしておくには勿体ないくらい洗練されたハウスチューン「Beating Still」と、バラードである「Between~」「What Money~」(とボートラのAcoustic Version2曲)を除くとほぼ全編現行エレクトロハウス路線で統一されたアゲアゲな内容となっています。

まず断っておきますが、1stとは全く路線が違います。1stアルバムも多少はエレクトロ系の曲も入っていましたが、それとは比較にならないくらい、今作は現行仕様のエレクトロハウス色満載。もはや「これ誰が歌ってるの?」と言いたくなるくらい声が加工されている曲もあり、Alexが歌う必要性の無い曲のオンパレード状態となっています。なので、1stと同じ路線を期待すると肩透かしを食らう可能性が高いです。しかし、曲自体は決して出来は悪くなく、ハウス色を強く押し出したサウンドながらもメロディーそのものはキャッチーであり、尚且つAlexの高い歌唱力の力もあってか、聴き応えがあって中々好印象でした。90年代っぽいかどうかはさておき...(笑) 私は結構好きです。しかしアルバムの売上は相当著しくないみたいで、全英チャートで初登場18位と大ゴケ。UKポップ界の賞味期限の短さが原因なのか、元からファンにこういう路線を求められてなかったのか、それとも単に彼女自身の人気が落ちただけなのか分かりませんが、ここまで気合の入ったアルバムを出してきたのに、この結果はちょっと可哀想かなぁ...。しかし、彼女のヴォーカルは大好きなので、これに懲りずに頑張って欲しいと思います。頑張れ!Alex!!!!

1.5.12

Marina & The Diamonds - Electra Heart


01. Bubblegum Bitch
02. Primadonna
03. Lies
04. Homewrecker
05. Starring Role
06. The State of Dreaming
07. Power & Control
08. Living Dead
09. Teen Idle
10. Valley of the Dolls
11. Hypocrates
12. Fear & Loathing
13. Radioactive *
14. Sex Yeah *
15. Lonely Hearts Club *
16. Buy the Stars *

Marina and the Diamondsのニューアルバム「Electra Heart」が遂に発売されました!!前作「The Family Jewels」は自身の生い立ち&デビューを目指してアメリカンドリームを追いかける様子を描いたパーソナルな作風でしたが、本作では"Electra Heart"なるキャラクターを演じ、恋愛や人間関係を中心に歌詞に幅広いテーマが散りばめられているそう。また、音楽性も1stに顕著だったピアノロックやチェンバーポップといった生音主体のアレンジから、シンセサイザーを多用したエレクトロポップ路線へとシフトチェンジ。制作陣もDr. LukeにStarGate、Diplo、Steve Angello(Swedish House Mafia)と言ったメインストリームで活躍する売れっ子プロデューサーから、はたまた前作から続投を務めるLiam Howe、Greg Kurstinらに初顔合わせのRick Nowelsと言った女性ポップスを得意とするプロデューサーまで、幅広い人選を起用。さらにビジュアル面では、トレンドマークだった黒髪を突如ブロンドヘアーに染め、60年代風のレトロなファッションを纏って大幅にイメチェンするなど、本作に対する徹底したコンセプト作りに彼女の並ならぬ気合いとチャレンジ精神が伺えます。しかしこのジャケットは謎ですね。個人的には毒々しくて好きなんですが、髪型がサザエさんみたいでスゲェな、と。

さて、まずこのアルバムの感想を書くにあたって始めに紹介するのは、"Electra Heart Part 1"と題され、アルバムからいち早く解禁された「Fear & Loathing」でしょう。去年の8月に解禁されましたが、非常に彼女らしいオペラティックな美しいバラードとなっています。前作の「I Am Not A Robot」のような、皆がMarinaに求めるタイプの曲ですね。この曲の音源化をどれほど待ち望んだか...!私もこの曲大好きです。そっと諭すようなナイーブな歌詞の内容も素晴らしい。最終的にアルバムのラストを飾る曲となったのですが、今考えるとこの曲を始めに解禁した理由が何となく分かる気がしました。ちなみに、解禁当初は3分強の短い曲だったんですが、アルバムでは後半に新たにパートが追加され6分以上と尺度が長くなっていて、大作へと生まれ変わっています。ラストにちょっとした仕掛けもあって面白かった。そしてPart 2と題され、間髪入れずに解禁してきたのが、StarGateプロデュースの問題作(笑)ことエキゾチックなエレクトロポップ「Radioactive」。去年の10月にシングルとしてリリースされたのにも関わらず、何故かアルバム本編には収録されず、ボーナストラックとしてDX盤のみに収録されることになっちゃいました。ぶっちゃけRihannaやKaty Perry辺りが歌っても違和感無さそうな何の変哲もないダンスポップなので、最初は「あーあ...とうとうMarinaも流行に靡いちゃったのね...orz」と落胆していたんですが、何回も聴いていくうちに結局好きになりました(笑)。恐るべしファン心理。そして今年になってからやっと本作からの正式な1stシングル「Primadonna」が解禁。Dr. Lukeプロデュースの今風エレクトロポップで、サビでブレイクするハウス的な音使いを取り入れる辺り、まさに今のトレンドど真ん中の音...と見せかけて、生楽器を取り入れたり、相変わらず捻くれたリリックだったりと、あくまでMarinaらしさも感じさせる絶妙な仕上がりとなっています。そしてUKチャートでは自己最高位の初登場11位を記録。ただ、キャッチーで聴きやすいんだけど、Marinaにしては聴き易過ぎるというかインパクトに欠けるというか...若干物足りない感じはする...かな。聴き始めは印象良かったんですが、今となっては「Radioactive」の方が好きという体たらくです。

そしてアルバムの方はと言うと、初っ端からエレキが凶暴に鳴り響く疾走感溢れるトラックと早口で捲し立てるフックが強烈なインパクトを放つロックナンバー「Bubblegum Bitch」、自分に嘘を付き続けることをテーマに切なく歌い上げるダブステップ調バラード「Lies」、オフィシャルサイトでフリーダウンロードシングルとしてリリースされた攻撃的なエレクトロポップ「Homewrecker」、人間関係を映画の主役と脇役に置き換えた狂おしくも美しいバラード「Starring Role」、夢見心地の良いスロウな導入部からキャッチーで突き抜けたサビへと駆け抜けていく爽快なアップナンバー「The State of Dreaming」、Greg Kurstinがプロデュースを手掛けたニューウェーブテイストのエレクトロアップ「Power & Control」、こちらも前曲の流れを引き継いだエレクトロアップで生きることに対する空虚感を歌った「Living Dead」、美しいメロディーに乗せて自身のパーソナルな想いを綴った神々しいバラード「Teen Idle」、妖しげな音作りで異世界へと誘うミッド「Valley of the Dolls」、電子音を多用した作風の中でアコースティックな音作りが異色なミッド「Hypocrates」と、Marina扮するElectra Heartの織りなす世界観が炸裂したアルバムとなっています。また、ボーナストラック群も侮れない出来で、「Radioactive」の他には、強烈なタイトルに反してキャッチーで聴き易いエレクトロアップとなっている「Sex Yeah」、変則的で尖ったビートの近未来的アップナンバー「Lonely Hearts Club」、シンプルなピアノ弾き語りで孤独な想いを切々と歌い上げるバラード「Buy the Stars」など、本編に負けず劣らず高いクオリティを誇る楽曲が収録されています。特に1stの路線を継承した「Buy the Stars」は個人的にグッときましたね。こういう曲が聴きたかったんだよ私は!!この曲のためだけにDX盤買っていいと言っても過言ではないはずです。

先行シングル2曲はRihannaやKaty Perryを思わせるラジオフレンドリーなダンスポップ路線でしたが、思ったより独自の路線となっていて、"Marina流エレクトロポップアルバム"とでも言うべき作風となっています。キャッチーでポップなメロディーの曲が多いながらも、全体的にダークで浮遊感のある世界観で統一されており、アルバム一枚通して徹底的にコンセプトが貫かれている辺りは好印象でした。ただ、1stの面影はほとんど残っておらず、数少ないMarina単独作曲の「Teen Idle」「Fear & Loathing」「Buy the Stars」の3曲以外はほぼ完全にエレクトロ仕様。また、前作にあったハチャメチャで緩急の激しいメロディー展開や型破りで癖の強い歌唱法は影を潜め、本作では外部のプロデューサーやソングライターと組むことによって、それらが良くも悪くも綺麗に丁寧に修正されてしまっているという印象でした(特に前半)。つまり彼女の持ち味が本作で殆ど掻き消されてるんですよね。正直その辺のポップシンガーとやってることが変わらなくなってきたなぁと(本人のインタビューなんかの発言から察するに狙ってやってるみたいですが)。ただ、それでも他の幾多の女性SSWと比べるとやはり他とは違った独特の世界観があると思うし、アルバムとしてのクオリティは高いと思う。ただ、私は1stのような彼女の形振り構わぬ(ある種の独りよがりのような自虐的な)スタイルが大好きだったので、予想していたとは言え、この路線変更はちょっと残念でした。あと歌詞の点でも一言。前作では人間の影の部分や醜い部分を歌った曲が多くて、それに共感する人も多かったと思うんですが(特にマイノリティな考えを持った女の子(もちろん男子もね)に)、今回恋愛がテーマの曲が多いためか没個性的な内容が多かったのも、ちょっと残念かなぁと...。でもこれはこれで嫌いじゃないし、今回も良い曲多いし、正直自分の中でもこのアルバムに対する評価がイマイチ定まっていないので、長い目で見て聴き込んで行こうかなぁと思ってます。でも、やっぱり1stの方が断然好きであることは変わりないかなぁ...。

26.3.12

Madonna - MDNA


01. Girl Gone Wild
02. Gang Bang
03. I'm Addicted
04. Turn Up the Radio
05. Give Me All Your Luvin' (Feat. Nicki Minaj & M.I.A.)
06. Some Girls
07. Superstar
08. I Don't Give A (Feat. Nicki Minaj)
09. I'm A Sinner
10. Love Spent
11. Masterpiece
12. Falling Free
13. Beautiful Killer *
14. I Fucked Up *
15. B-day Song (Feat. M.I.A.) *
16. Best Friend *
17. Give Me All Your Luvin' (Party Rock Remix) (Feat. LMFAO & Nicki Minaj) *
18. Girl Gone Wild (Justin Cognito Remix - Radio Edit) **

Queen of PopことMadonnaのニューアルバム「MDNA」がついに発売!前作「Hard Candy」からベストアルバムを挟んで4年ぶりのオリジナルアルバムとなります。前作ではTimbalandやNeptunesと言った現行R&B/Hip-Hop系プロデューサーを招いて、R&B色の強い作風を打ち出してきましたが、それに対して今作では、先行シングル「Give Me All Your Luvin'」を手掛けたフランス人DJ、Martin Solveigを始め、「Ray of Light」など過去のアルバムも手掛けていたWilliam Orbit、「Cerebration」のRemixを手掛けていたイタリア人DJ、Benny Benassi、など、ハウス/クラブ系のプロデューサーを起用。相変わらずMadonnaらしい個性的な人選となっています。また、今回のアルバムは全12曲収録の通常盤に加えて、新曲やRemixなどのボーナストラック5曲(日本盤は6曲)を収録したDX盤も同時にリリースと、盤によって仕様が異なりますが、個人的には世界最多収録の日本盤がお勧めです。ライナーと対訳も付いてるしね。

1stシングルはNicki MinajとM.I.A.の個性派女性ラッパー2人を客演に迎えた「Give Me All Your Luvin'」。オールドスクール調のサウンドにゴリエ的要素を加えたキャッチーなポップチューンとなっており、全体的に可愛らしくハッピーな雰囲気となっています。VideoもMadonnaら女子3人がチアガールに扮したり、マリリンモンローのコスプレを繰り広げたりと、かなりはっちゃけていて楽しめます。が...しかし、曲自体は速攻で飽きちゃいました(ノ∀`)アチャーw 実質チャート上でも勢いあったのは最初だけで、一気に失速しちゃってたしね。しかし、それに続く2ndシングル「Girl Gone Wild」はまさにMadonna!って感じのエレクトロ・ダンスチューンで、超好み。今のトレンドであるエレクトロミュージックの要素を取り入れつつも、ダークでクールな雰囲気を纏ってる所はMadonnaらしいな、と。それでいて、超キャッチーで覚えやすいメロディー。まさにこれぞMadonnaの真骨頂でしょう。とにかく大好きです、この曲。Videoは裸の男性が沢山出てきたり、男同士の激し絡みがあったりと、あまりにもゲイテイスト満載なため、18禁指定されてしまいましたw。個人的にあのVideo嫌いじゃないんですが、ちょっと...濃すぎ(笑)

そして今作ですが、前述の「Girl Gone Wild」から幕を開け、地を這うような低音ビートがうねり狂う「Gang Bang」、シンセ音が縦横無尽にトラックを駆け抜ける「I'm Addicted」と、攻撃的でドラッギーなエレクトロチューンが続きます。その後はキャッチーで煌びやかなシンセポップ「Turn Up The Radio」、この流れで聴くとちょっと初期っぽさがある気がする「Give Me All Your Luvin'」、図太いビートとシンセリフで最後までグイグイ引っ張っていく「Some Girls」、Madonnaらしい80'sフレイヴァーにロッキッシュなトラックが絶妙に組み合わさった「Superstar」と、80年代に原点回帰したようなPop路線の楽曲が続き、後半からは、再びNicki Minajを客演に迎えたキャッチーなメロが炸裂するヒップホップチューン「I Don't Give A」、「Ray of Light」期を彷彿とさせる透明感のある音使いながら若干おちゃらけた感じもするアップナンバー「I'm A Sinner」、カントリー調のイントロから曲調がコロコロ変わり1曲の中で様々な表情を見せる「Love Spent」、しっとりとメロディアスな歌を聴かせるミディアムバラード「Masterpiece」、再び「Ray of Light」期を思わせる幻想的なスロウで本編を〆る「Falling Free」と、今回もMadonnaらしい最先端のサウンドを聴かせてくれています。また、本編の高いクオリティには及ばずとも、ボーナストラック群も中々の出来で、ギターとストリングスの音色に彩られたメロディアスなポップチューン「Beautiful Killer」、ダブステップ調のバラードかと思いきや途中で一気にテンポアップする「I Fucked Up」、Madonnaにしては珍しくおバカなノリが笑える軽快なギターポップ「B-day Song」、ドラムンベース調の変則ビートを用いた実験的な「Best Friend」など、佳曲多し。

先行シングル2曲だけ聴くと「もっとポップでキャッチーなアルバムになるのかな?」と思いきや、クールで尖ったダンスチューンから、80'sテイストのハッピーなポップソング、はたまたメロディアスな美しいバラードまで、色んなタイプの曲が収録されており、近年のMadonnaのアルバムの中では際立ってカラフルでバラエティ豊かな内容となっていました。それでいて、エレクトリックでソリッドな音作りで統一されていて纏まりもあり、全体的に尖りのある「攻め」の作風になっているな、という印象です。特に冒頭3曲の流れはMadonnaらしい挑戦心に満ち溢れた楽曲で、かなり聴き応えアリ。また、過去の作品を彷彿とさせる楽曲もいくつかありますが、個人的に今作は今までの集大成と見せかけて、これまでMadonnaがやってきたこと(特に80年~90年代辺り)を、2012年風に解釈して再構築したのがこのアルバムなのかな?と思います。まさに2012年型のダンスポップアルバム。とにかく聴いて損なし!!です。

9.3.12

Emeli Sandé - Our Version of Events


01. Heaven
02. My Kind of Love
03. Where I Sleep
04. Mountains
05. Clown
06. Daddy (Feat. Naughty Boy)
07. Maybe
08. Suitcase
09. Breaking the Law
10. Next to Me
11. River
12. Lifetime
13. Hope
14. Read All About It (Pt. Ⅲ) *

スコットランド出身の実力派女性SSW、Emeli Sandéのデビューアルバム「Our Version of Events」について。デビュー前は裏方のソングライターとして活躍してましたが、Cheryl ColeやAlesha Dixonなど他のアーティストに楽曲提供を行う傍らで、Tinie TempahやProfessor GreenらUKグライムラッパーらの楽曲に客演として参加するなど、シンガーとしての実力もデビュー前にして話題となっていました。ビジュアル的には髪型にインパクトがありますがw、歌唱力の高さとソングライティングのセンスは折り紙つき。まさに期待の新人という名に相応しい実力の持ち主だと思います。

デビューシングルは「Heaven」。UKガラージテイストのブレイクビーツを下敷きに、流麗なストリングスアレンジとEmeliのエモーショナルなヴォーカルが乗るアップチューン。洗練されたアレンジと卓越したヴォーカルはデビューシングルとは思えないほどの完成度の高さですね。このシングルは初登場2位にチャートインし、彼女の名を一気に多くの人に知らしめました。続く2ndシングルは「Daddy」。「Heaven」と同路線ながらもより「影」の要素を強めた憂いのある一曲。個人的にこの曲はちょっと演歌っぽいというか雪景色が似合いそうな曲ではありますねw シングル3曲の中では唯一セールス面でパッとしなかった曲ですが(最高位21位)、理由がよく分からないです。何でだろう? 3rdシングルは「Next to Me」。前2曲のような洗練されたUKガラージテイストではなく、Adeleの「Rolling in the Deep」を彷彿とさせるパーカッシブなアレンジを基調としたより土着的なビートを打ち鳴らすグルーヴィーなソウルナンバーになってます。アルバムと同時リリースであるにも関わらず初登場2位、その後も3週連続トップ3に居続けるというロングヒットぶりを記録。早くも今年を代表する楽曲の一つになりそうな勢いですね。

アルバムの中で個人的に気に入ったのが、Lana Del Reyのアルバムでもいい仕事をしてたEmile Haynieプロデュースの悲壮感のあるパワーバラード「My Kind of Love」、僅か2分弱の短さながらソウルフルな歌声が沁み入る爽やかなミッドナンバー「Where I Sleep」、元々Leona Lewisに提供予定だったらしい切々とした歌い口が光る壮麗なミッド「Mountains」、アコギ一本でエモーショナルに聴かせるメロディアス&フォーキーな「Breaking the Law」、ちょいレゲエテイストの入った軽妙なソウルポップ「Lifetime」辺り。他にもシンプルなアレンジで聴かせるピアノバラード「Clown」、壮大なストリングスを従えたパワーバラード「Maybe」、ブルージーな「Suitcase」、徐々に熱を帯びてゆく展開でじっくりと聴かせる「River」、Alicia Keysがソングライトに参加したアルバム本編を締めくくるソウルバラード「Hope」、客演として参加したProfessor Greenの大ヒット曲「Read All About It」のEmeliバージョンとでも言うべきピアノ弾き語りのシンプルなアレンジへと生まれ変わった「Read All About It (Pt. Ⅲ)」と、基本的にシングル3曲以外はほぼミッド~スロウで固められており、彼女の織りなすメロディーとヴォーカルを活かした歌心溢れる内容となっています。

ピアノとストリングスの伴奏を基軸とした生楽器主体のアレンジが主となっていて、奇抜なビートやギラギラしたシンセはほぼ皆無という、まさに温故知新なソウルアルバム。先行3曲がノリの良いアップナンバーだったのですが、蓋を開けてみればその他の曲はミッド~スロウ中心の大人しい内容になっていて、最初は地味な印象でした。しかし、Emeliの瑞々しい透き通るような歌声と余計な装飾をそぎ落としたアレンジはとても耳に心地良く、聴いてるうちにいつの間にか引き込まれて行っちゃいました。楽曲の下地になってるビートアレンジもよくよく聴いてみると緻密に作られていて素晴らしいです。SSW的な方向性を基本としながらも、「My Kind of Love」や「Mountains」のようにDrakeやKanye Westを思わせる現代的なビートも楽曲の随所で取り入れてる辺り、Lana Del Reyのアルバムにも通ずるものがあるんじゃないでしょうか?何より1曲1曲の完成度が高い。AdeleやDuffyみたいなUKソウルが好きな人はもちろんのこと、色んな人にお勧めできるアルバムになってると思います。必聴盤!

Lana Del Rey - Born to Die


01. Born to Die
02. Off to the Races
03. Blue Jeans
04. Video Games
05. Diet Mountain Dew
06. National Anthem
07. Dark Paradise
08. Radio
09. Carmen
10. Million Doller Man
11. Summertime Sadness
12. This Is What Makes Us Girls
13. Without You *
14. Lolita *
15. Lucky Ones *
16. Video Games (Joy Orbison Remix) **

ニューヨーク出身の新人女性SSW、Lana Del Reyのデビューアルバム「Born to Die」について。YouTubeに投稿された「Video Games」の本人監督によるMusic Videoをきっかけに突如ブレイクし、彗星のように登場したシンデレラガールとでも言えるような鮮烈なデビューでしたが、元々本名であるLizzy Grant名義で2010年にアルバムをリリースしていた彼女(その後アルバムを作り直したいという理由ですぐに削除。なお、この幻のデビューアルバムは今夏に再リリース予定だそう)。本作は早くも全英チャートで2週連続で1位を独走、本国であるアメリカでも全米2位を記録と、大ヒットを遂げています。どちらかと言うとアメリカより欧州での人気がありますが、どこか憂いを秘めた彼女の音楽性はヨーロッパでの方が支持されそうな感じですね。

アルバムからの1stシングルは彼女がブレイクするきっかけとなった「Video Games」。ピアノとストリングスを軸にした美しいトラックに乗せて、ゲームに夢中になってる彼氏に対する女性の心情を綴ったバラードナンバー。最初は「地味だなぁ...」とぐらいにしか思って無かったんですが、徐々にハマっていった感じですね(笑)。特に大きな展開もなく、淡々としたメロディーと歌唱なんですが、それが逆にこの曲の持つ寂しさみたいなものを上手く表してるんじゃないかなぁと思います。2ndシングルはアルバムの表題曲でもある「Born to Die」。重厚でひんやりとした感触のドラムループに豪奢なストリングスアレンジを施した独特のトラックも印象的ですが、それ以上にタイトル通り「私たちは死ぬために生まれてきた」という歌詞のメッセージが強烈。この曲は聴いてすぐに気に入りました。聴いてるうちに、暗い森の中を彷徨うような...あるいはずるずると底の無い闇に引きずり込まれるような...少し恐ろしい感覚に陥ってしまう曲。中毒性が高いと言うか、なんとも言えない心地良さを持った曲ですね。正直「Video Games」よりこっちの方が断然好き。さすがアルバムタイトルに冠しただけあって、間違いなく本アルバムの核になっているであろうと思います。ただ、Videoがちょっと......怖いw

そんな前述のタイトル曲から幕を開け、甘えるような可愛らしい声とハードで毒々しいヒップホップトラックの対比が面白いアップ「Off to the Races」、シングル「Video Games」のカップリング曲だった気だるい曲調の「Blue Jeans」(後に3rdシングルに昇格)と、アルバム序盤はシングル曲を中心に構成されています。それ以降は初披露の新曲群が続き、特に印象に残ったのはムード歌謡風の哀愁漂う「Diet Mountain Dew」、尖鋭なヒップホップビートを纏い途中でラップも披露するアップナンバー「National Anthem」、失恋の痛みを歌った壮大で物悲しいバラード「Dark Paradise」、Enyaを彷彿とさせるエアリーで幻想的な美曲「Radio」、情念迸るブルース調の「Million Dollar Man」、「これが女なのよ」とLana的視線で女性としての主張を歌ったアルバム本編ラスト「This Is What Makes Us Girls」と、どの曲も粒ぞろい。なお、DX盤のみ収録のボートラ3曲も非常に完成度が高く、中華風メロディーが可愛らしいほわほわしたミッドチューン「Without You」、アルバム中最も強烈なインパクトを放つぶっ飛びアップ「Lolita」、Nicola Robertsを彷彿とさせる繊細なファルセットを聴かせる耽美なバラード「Lucky Ones」と、アルバム本編に収録されていても違和感の無いくらい秀逸な仕上がりだと思います。

とにかく全曲完成度が高い。アルバム全編通して共通するのが、ヒップホップ的な意匠のドラムビートに煌びやかなストリングスアレンジを効かせた美しいトラックが中心になっていることですね。そして印象的なのがどの曲もコロコロと目まぐるしく転調する曲が多く、一聴するとつかみ所のない一筋縄ではいかない曲ばかりであるということ。さらにヴォーカル面で言えば、「Video Games」の時みたいに低い地声で気だるく歌うかと思いきや、いきなり幼く甘ったるい声で歌いだしたりと、「これ同じ人が歌ってるの!?」と突っ込みたくなるほどに変化自在。トラックにしろヴォーカルにしろ、1曲の中で自由に顔を変え形を変えてゆく姿はまるでカメレオンの様。また、オルタナティブSSW的な出自のLanaですが、それとは全く異なるジャンルであるヒップホップ畑の制作陣によるプロダクションは、同じく"SSW+ヒップホップ系プロデューサー"という組み合わせを持ったSkyler GreyやNatalia Killsらに通ずるものを感じました。そういう意味では「Video Games」は本作の中では一番異質な曲かもしれません。デビューシングルの「Video Games」が各方面で絶賛された割には、アルバムは一転して酷評が目立ってますが、正直「Video Games」の路線を本作に求めてはいけないと思います。むしろc/wだった「Blue Jeans」や表題曲の「Born to Die」こそがこのアルバムの方向性を決定づけている曲なんじゃないかな、と。個人的にこのアルバムは一部の評論家に受けるようなマニアックな作品ではなく、大衆的なポップミュージックとして評価されるべき作品だと思うし、凄く完成度が高いはずなのに思ったより評価を得られてないのが、なんだかもったいないなぁと感じました。少なくとも私はエレクトロ全盛期の中でこのアルバムは革新的だと思うし、音楽的にも評価されて欲しいんですが。インタビューで「もうこのアルバム1枚で私の言いたいことは言い尽した」と語っていた彼女ですが、そんなこと言わず次回作もガッツリ作って欲しいですね。批判に負けじと頑張って欲しいです。