26.3.12

Madonna - MDNA


01. Girl Gone Wild
02. Gang Bang
03. I'm Addicted
04. Turn Up the Radio
05. Give Me All Your Luvin' (Feat. Nicki Minaj & M.I.A.)
06. Some Girls
07. Superstar
08. I Don't Give A (Feat. Nicki Minaj)
09. I'm A Sinner
10. Love Spent
11. Masterpiece
12. Falling Free
13. Beautiful Killer *
14. I Fucked Up *
15. B-day Song (Feat. M.I.A.) *
16. Best Friend *
17. Give Me All Your Luvin' (Party Rock Remix) (Feat. LMFAO & Nicki Minaj) *
18. Girl Gone Wild (Justin Cognito Remix - Radio Edit) **

Queen of PopことMadonnaのニューアルバム「MDNA」がついに発売!前作「Hard Candy」からベストアルバムを挟んで4年ぶりのオリジナルアルバムとなります。前作ではTimbalandやNeptunesと言った現行R&B/Hip-Hop系プロデューサーを招いて、R&B色の強い作風を打ち出してきましたが、それに対して今作では、先行シングル「Give Me All Your Luvin'」を手掛けたフランス人DJ、Martin Solveigを始め、「Ray of Light」など過去のアルバムも手掛けていたWilliam Orbit、「Cerebration」のRemixを手掛けていたイタリア人DJ、Benny Benassi、など、ハウス/クラブ系のプロデューサーを起用。相変わらずMadonnaらしい個性的な人選となっています。また、今回のアルバムは全12曲収録の通常盤に加えて、新曲やRemixなどのボーナストラック5曲(日本盤は6曲)を収録したDX盤も同時にリリースと、盤によって仕様が異なりますが、個人的には世界最多収録の日本盤がお勧めです。ライナーと対訳も付いてるしね。

1stシングルはNicki MinajとM.I.A.の個性派女性ラッパー2人を客演に迎えた「Give Me All Your Luvin'」。オールドスクール調のサウンドにゴリエ的要素を加えたキャッチーなポップチューンとなっており、全体的に可愛らしくハッピーな雰囲気となっています。VideoもMadonnaら女子3人がチアガールに扮したり、マリリンモンローのコスプレを繰り広げたりと、かなりはっちゃけていて楽しめます。が...しかし、曲自体は速攻で飽きちゃいました(ノ∀`)アチャーw 実質チャート上でも勢いあったのは最初だけで、一気に失速しちゃってたしね。しかし、それに続く2ndシングル「Girl Gone Wild」はまさにMadonna!って感じのエレクトロ・ダンスチューンで、超好み。今のトレンドであるエレクトロミュージックの要素を取り入れつつも、ダークでクールな雰囲気を纏ってる所はMadonnaらしいな、と。それでいて、超キャッチーで覚えやすいメロディー。まさにこれぞMadonnaの真骨頂でしょう。とにかく大好きです、この曲。Videoは裸の男性が沢山出てきたり、男同士の激し絡みがあったりと、あまりにもゲイテイスト満載なため、18禁指定されてしまいましたw。個人的にあのVideo嫌いじゃないんですが、ちょっと...濃すぎ(笑)

そして今作ですが、前述の「Girl Gone Wild」から幕を開け、地を這うような低音ビートがうねり狂う「Gang Bang」、シンセ音が縦横無尽にトラックを駆け抜ける「I'm Addicted」と、攻撃的でドラッギーなエレクトロチューンが続きます。その後はキャッチーで煌びやかなシンセポップ「Turn Up The Radio」、この流れで聴くとちょっと初期っぽさがある気がする「Give Me All Your Luvin'」、図太いビートとシンセリフで最後までグイグイ引っ張っていく「Some Girls」、Madonnaらしい80'sフレイヴァーにロッキッシュなトラックが絶妙に組み合わさった「Superstar」と、80年代に原点回帰したようなPop路線の楽曲が続き、後半からは、再びNicki Minajを客演に迎えたキャッチーなメロが炸裂するヒップホップチューン「I Don't Give A」、「Ray of Light」期を彷彿とさせる透明感のある音使いながら若干おちゃらけた感じもするアップナンバー「I'm A Sinner」、カントリー調のイントロから曲調がコロコロ変わり1曲の中で様々な表情を見せる「Love Spent」、しっとりとメロディアスな歌を聴かせるミディアムバラード「Masterpiece」、再び「Ray of Light」期を思わせる幻想的なスロウで本編を〆る「Falling Free」と、今回もMadonnaらしい最先端のサウンドを聴かせてくれています。また、本編の高いクオリティには及ばずとも、ボーナストラック群も中々の出来で、ギターとストリングスの音色に彩られたメロディアスなポップチューン「Beautiful Killer」、ダブステップ調のバラードかと思いきや途中で一気にテンポアップする「I Fucked Up」、Madonnaにしては珍しくおバカなノリが笑える軽快なギターポップ「B-day Song」、ドラムンベース調の変則ビートを用いた実験的な「Best Friend」など、佳曲多し。

先行シングル2曲だけ聴くと「もっとポップでキャッチーなアルバムになるのかな?」と思いきや、クールで尖ったダンスチューンから、80'sテイストのハッピーなポップソング、はたまたメロディアスな美しいバラードまで、色んなタイプの曲が収録されており、近年のMadonnaのアルバムの中では際立ってカラフルでバラエティ豊かな内容となっていました。それでいて、エレクトリックでソリッドな音作りで統一されていて纏まりもあり、全体的に尖りのある「攻め」の作風になっているな、という印象です。特に冒頭3曲の流れはMadonnaらしい挑戦心に満ち溢れた楽曲で、かなり聴き応えアリ。また、過去の作品を彷彿とさせる楽曲もいくつかありますが、個人的に今作は今までの集大成と見せかけて、これまでMadonnaがやってきたこと(特に80年~90年代辺り)を、2012年風に解釈して再構築したのがこのアルバムなのかな?と思います。まさに2012年型のダンスポップアルバム。とにかく聴いて損なし!!です。

9.3.12

Emeli Sandé - Our Version of Events


01. Heaven
02. My Kind of Love
03. Where I Sleep
04. Mountains
05. Clown
06. Daddy (Feat. Naughty Boy)
07. Maybe
08. Suitcase
09. Breaking the Law
10. Next to Me
11. River
12. Lifetime
13. Hope
14. Read All About It (Pt. Ⅲ) *

スコットランド出身の実力派女性SSW、Emeli Sandéのデビューアルバム「Our Version of Events」について。デビュー前は裏方のソングライターとして活躍してましたが、Cheryl ColeやAlesha Dixonなど他のアーティストに楽曲提供を行う傍らで、Tinie TempahやProfessor GreenらUKグライムラッパーらの楽曲に客演として参加するなど、シンガーとしての実力もデビュー前にして話題となっていました。ビジュアル的には髪型にインパクトがありますがw、歌唱力の高さとソングライティングのセンスは折り紙つき。まさに期待の新人という名に相応しい実力の持ち主だと思います。

デビューシングルは「Heaven」。UKガラージテイストのブレイクビーツを下敷きに、流麗なストリングスアレンジとEmeliのエモーショナルなヴォーカルが乗るアップチューン。洗練されたアレンジと卓越したヴォーカルはデビューシングルとは思えないほどの完成度の高さですね。このシングルは初登場2位にチャートインし、彼女の名を一気に多くの人に知らしめました。続く2ndシングルは「Daddy」。「Heaven」と同路線ながらもより「影」の要素を強めた憂いのある一曲。個人的にこの曲はちょっと演歌っぽいというか雪景色が似合いそうな曲ではありますねw シングル3曲の中では唯一セールス面でパッとしなかった曲ですが(最高位21位)、理由がよく分からないです。何でだろう? 3rdシングルは「Next to Me」。前2曲のような洗練されたUKガラージテイストではなく、Adeleの「Rolling in the Deep」を彷彿とさせるパーカッシブなアレンジを基調としたより土着的なビートを打ち鳴らすグルーヴィーなソウルナンバーになってます。アルバムと同時リリースであるにも関わらず初登場2位、その後も3週連続トップ3に居続けるというロングヒットぶりを記録。早くも今年を代表する楽曲の一つになりそうな勢いですね。

アルバムの中で個人的に気に入ったのが、Lana Del Reyのアルバムでもいい仕事をしてたEmile Haynieプロデュースの悲壮感のあるパワーバラード「My Kind of Love」、僅か2分弱の短さながらソウルフルな歌声が沁み入る爽やかなミッドナンバー「Where I Sleep」、元々Leona Lewisに提供予定だったらしい切々とした歌い口が光る壮麗なミッド「Mountains」、アコギ一本でエモーショナルに聴かせるメロディアス&フォーキーな「Breaking the Law」、ちょいレゲエテイストの入った軽妙なソウルポップ「Lifetime」辺り。他にもシンプルなアレンジで聴かせるピアノバラード「Clown」、壮大なストリングスを従えたパワーバラード「Maybe」、ブルージーな「Suitcase」、徐々に熱を帯びてゆく展開でじっくりと聴かせる「River」、Alicia Keysがソングライトに参加したアルバム本編を締めくくるソウルバラード「Hope」、客演として参加したProfessor Greenの大ヒット曲「Read All About It」のEmeliバージョンとでも言うべきピアノ弾き語りのシンプルなアレンジへと生まれ変わった「Read All About It (Pt. Ⅲ)」と、基本的にシングル3曲以外はほぼミッド~スロウで固められており、彼女の織りなすメロディーとヴォーカルを活かした歌心溢れる内容となっています。

ピアノとストリングスの伴奏を基軸とした生楽器主体のアレンジが主となっていて、奇抜なビートやギラギラしたシンセはほぼ皆無という、まさに温故知新なソウルアルバム。先行3曲がノリの良いアップナンバーだったのですが、蓋を開けてみればその他の曲はミッド~スロウ中心の大人しい内容になっていて、最初は地味な印象でした。しかし、Emeliの瑞々しい透き通るような歌声と余計な装飾をそぎ落としたアレンジはとても耳に心地良く、聴いてるうちにいつの間にか引き込まれて行っちゃいました。楽曲の下地になってるビートアレンジもよくよく聴いてみると緻密に作られていて素晴らしいです。SSW的な方向性を基本としながらも、「My Kind of Love」や「Mountains」のようにDrakeやKanye Westを思わせる現代的なビートも楽曲の随所で取り入れてる辺り、Lana Del Reyのアルバムにも通ずるものがあるんじゃないでしょうか?何より1曲1曲の完成度が高い。AdeleやDuffyみたいなUKソウルが好きな人はもちろんのこと、色んな人にお勧めできるアルバムになってると思います。必聴盤!

Lana Del Rey - Born to Die


01. Born to Die
02. Off to the Races
03. Blue Jeans
04. Video Games
05. Diet Mountain Dew
06. National Anthem
07. Dark Paradise
08. Radio
09. Carmen
10. Million Doller Man
11. Summertime Sadness
12. This Is What Makes Us Girls
13. Without You *
14. Lolita *
15. Lucky Ones *
16. Video Games (Joy Orbison Remix) **

ニューヨーク出身の新人女性SSW、Lana Del Reyのデビューアルバム「Born to Die」について。YouTubeに投稿された「Video Games」の本人監督によるMusic Videoをきっかけに突如ブレイクし、彗星のように登場したシンデレラガールとでも言えるような鮮烈なデビューでしたが、元々本名であるLizzy Grant名義で2010年にアルバムをリリースしていた彼女(その後アルバムを作り直したいという理由ですぐに削除。なお、この幻のデビューアルバムは今夏に再リリース予定だそう)。本作は早くも全英チャートで2週連続で1位を独走、本国であるアメリカでも全米2位を記録と、大ヒットを遂げています。どちらかと言うとアメリカより欧州での人気がありますが、どこか憂いを秘めた彼女の音楽性はヨーロッパでの方が支持されそうな感じですね。

アルバムからの1stシングルは彼女がブレイクするきっかけとなった「Video Games」。ピアノとストリングスを軸にした美しいトラックに乗せて、ゲームに夢中になってる彼氏に対する女性の心情を綴ったバラードナンバー。最初は「地味だなぁ...」とぐらいにしか思って無かったんですが、徐々にハマっていった感じですね(笑)。特に大きな展開もなく、淡々としたメロディーと歌唱なんですが、それが逆にこの曲の持つ寂しさみたいなものを上手く表してるんじゃないかなぁと思います。2ndシングルはアルバムの表題曲でもある「Born to Die」。重厚でひんやりとした感触のドラムループに豪奢なストリングスアレンジを施した独特のトラックも印象的ですが、それ以上にタイトル通り「私たちは死ぬために生まれてきた」という歌詞のメッセージが強烈。この曲は聴いてすぐに気に入りました。聴いてるうちに、暗い森の中を彷徨うような...あるいはずるずると底の無い闇に引きずり込まれるような...少し恐ろしい感覚に陥ってしまう曲。中毒性が高いと言うか、なんとも言えない心地良さを持った曲ですね。正直「Video Games」よりこっちの方が断然好き。さすがアルバムタイトルに冠しただけあって、間違いなく本アルバムの核になっているであろうと思います。ただ、Videoがちょっと......怖いw

そんな前述のタイトル曲から幕を開け、甘えるような可愛らしい声とハードで毒々しいヒップホップトラックの対比が面白いアップ「Off to the Races」、シングル「Video Games」のカップリング曲だった気だるい曲調の「Blue Jeans」(後に3rdシングルに昇格)と、アルバム序盤はシングル曲を中心に構成されています。それ以降は初披露の新曲群が続き、特に印象に残ったのはムード歌謡風の哀愁漂う「Diet Mountain Dew」、尖鋭なヒップホップビートを纏い途中でラップも披露するアップナンバー「National Anthem」、失恋の痛みを歌った壮大で物悲しいバラード「Dark Paradise」、Enyaを彷彿とさせるエアリーで幻想的な美曲「Radio」、情念迸るブルース調の「Million Dollar Man」、「これが女なのよ」とLana的視線で女性としての主張を歌ったアルバム本編ラスト「This Is What Makes Us Girls」と、どの曲も粒ぞろい。なお、DX盤のみ収録のボートラ3曲も非常に完成度が高く、中華風メロディーが可愛らしいほわほわしたミッドチューン「Without You」、アルバム中最も強烈なインパクトを放つぶっ飛びアップ「Lolita」、Nicola Robertsを彷彿とさせる繊細なファルセットを聴かせる耽美なバラード「Lucky Ones」と、アルバム本編に収録されていても違和感の無いくらい秀逸な仕上がりだと思います。

とにかく全曲完成度が高い。アルバム全編通して共通するのが、ヒップホップ的な意匠のドラムビートに煌びやかなストリングスアレンジを効かせた美しいトラックが中心になっていることですね。そして印象的なのがどの曲もコロコロと目まぐるしく転調する曲が多く、一聴するとつかみ所のない一筋縄ではいかない曲ばかりであるということ。さらにヴォーカル面で言えば、「Video Games」の時みたいに低い地声で気だるく歌うかと思いきや、いきなり幼く甘ったるい声で歌いだしたりと、「これ同じ人が歌ってるの!?」と突っ込みたくなるほどに変化自在。トラックにしろヴォーカルにしろ、1曲の中で自由に顔を変え形を変えてゆく姿はまるでカメレオンの様。また、オルタナティブSSW的な出自のLanaですが、それとは全く異なるジャンルであるヒップホップ畑の制作陣によるプロダクションは、同じく"SSW+ヒップホップ系プロデューサー"という組み合わせを持ったSkyler GreyやNatalia Killsらに通ずるものを感じました。そういう意味では「Video Games」は本作の中では一番異質な曲かもしれません。デビューシングルの「Video Games」が各方面で絶賛された割には、アルバムは一転して酷評が目立ってますが、正直「Video Games」の路線を本作に求めてはいけないと思います。むしろc/wだった「Blue Jeans」や表題曲の「Born to Die」こそがこのアルバムの方向性を決定づけている曲なんじゃないかな、と。個人的にこのアルバムは一部の評論家に受けるようなマニアックな作品ではなく、大衆的なポップミュージックとして評価されるべき作品だと思うし、凄く完成度が高いはずなのに思ったより評価を得られてないのが、なんだかもったいないなぁと感じました。少なくとも私はエレクトロ全盛期の中でこのアルバムは革新的だと思うし、音楽的にも評価されて欲しいんですが。インタビューで「もうこのアルバム1枚で私の言いたいことは言い尽した」と語っていた彼女ですが、そんなこと言わず次回作もガッツリ作って欲しいですね。批判に負けじと頑張って欲しいです。