1.5.12

Marina & The Diamonds - Electra Heart


01. Bubblegum Bitch
02. Primadonna
03. Lies
04. Homewrecker
05. Starring Role
06. The State of Dreaming
07. Power & Control
08. Living Dead
09. Teen Idle
10. Valley of the Dolls
11. Hypocrates
12. Fear & Loathing
13. Radioactive *
14. Sex Yeah *
15. Lonely Hearts Club *
16. Buy the Stars *

Marina and the Diamondsのニューアルバム「Electra Heart」が遂に発売されました!!前作「The Family Jewels」は自身の生い立ち&デビューを目指してアメリカンドリームを追いかける様子を描いたパーソナルな作風でしたが、本作では"Electra Heart"なるキャラクターを演じ、恋愛や人間関係を中心に歌詞に幅広いテーマが散りばめられているそう。また、音楽性も1stに顕著だったピアノロックやチェンバーポップといった生音主体のアレンジから、シンセサイザーを多用したエレクトロポップ路線へとシフトチェンジ。制作陣もDr. LukeにStarGate、Diplo、Steve Angello(Swedish House Mafia)と言ったメインストリームで活躍する売れっ子プロデューサーから、はたまた前作から続投を務めるLiam Howe、Greg Kurstinらに初顔合わせのRick Nowelsと言った女性ポップスを得意とするプロデューサーまで、幅広い人選を起用。さらにビジュアル面では、トレンドマークだった黒髪を突如ブロンドヘアーに染め、60年代風のレトロなファッションを纏って大幅にイメチェンするなど、本作に対する徹底したコンセプト作りに彼女の並ならぬ気合いとチャレンジ精神が伺えます。しかしこのジャケットは謎ですね。個人的には毒々しくて好きなんですが、髪型がサザエさんみたいでスゲェな、と。

さて、まずこのアルバムの感想を書くにあたって始めに紹介するのは、"Electra Heart Part 1"と題され、アルバムからいち早く解禁された「Fear & Loathing」でしょう。去年の8月に解禁されましたが、非常に彼女らしいオペラティックな美しいバラードとなっています。前作の「I Am Not A Robot」のような、皆がMarinaに求めるタイプの曲ですね。この曲の音源化をどれほど待ち望んだか...!私もこの曲大好きです。そっと諭すようなナイーブな歌詞の内容も素晴らしい。最終的にアルバムのラストを飾る曲となったのですが、今考えるとこの曲を始めに解禁した理由が何となく分かる気がしました。ちなみに、解禁当初は3分強の短い曲だったんですが、アルバムでは後半に新たにパートが追加され6分以上と尺度が長くなっていて、大作へと生まれ変わっています。ラストにちょっとした仕掛けもあって面白かった。そしてPart 2と題され、間髪入れずに解禁してきたのが、StarGateプロデュースの問題作(笑)ことエキゾチックなエレクトロポップ「Radioactive」。去年の10月にシングルとしてリリースされたのにも関わらず、何故かアルバム本編には収録されず、ボーナストラックとしてDX盤のみに収録されることになっちゃいました。ぶっちゃけRihannaやKaty Perry辺りが歌っても違和感無さそうな何の変哲もないダンスポップなので、最初は「あーあ...とうとうMarinaも流行に靡いちゃったのね...orz」と落胆していたんですが、何回も聴いていくうちに結局好きになりました(笑)。恐るべしファン心理。そして今年になってからやっと本作からの正式な1stシングル「Primadonna」が解禁。Dr. Lukeプロデュースの今風エレクトロポップで、サビでブレイクするハウス的な音使いを取り入れる辺り、まさに今のトレンドど真ん中の音...と見せかけて、生楽器を取り入れたり、相変わらず捻くれたリリックだったりと、あくまでMarinaらしさも感じさせる絶妙な仕上がりとなっています。そしてUKチャートでは自己最高位の初登場11位を記録。ただ、キャッチーで聴きやすいんだけど、Marinaにしては聴き易過ぎるというかインパクトに欠けるというか...若干物足りない感じはする...かな。聴き始めは印象良かったんですが、今となっては「Radioactive」の方が好きという体たらくです。

そしてアルバムの方はと言うと、初っ端からエレキが凶暴に鳴り響く疾走感溢れるトラックと早口で捲し立てるフックが強烈なインパクトを放つロックナンバー「Bubblegum Bitch」、自分に嘘を付き続けることをテーマに切なく歌い上げるダブステップ調バラード「Lies」、オフィシャルサイトでフリーダウンロードシングルとしてリリースされた攻撃的なエレクトロポップ「Homewrecker」、人間関係を映画の主役と脇役に置き換えた狂おしくも美しいバラード「Starring Role」、夢見心地の良いスロウな導入部からキャッチーで突き抜けたサビへと駆け抜けていく爽快なアップナンバー「The State of Dreaming」、Greg Kurstinがプロデュースを手掛けたニューウェーブテイストのエレクトロアップ「Power & Control」、こちらも前曲の流れを引き継いだエレクトロアップで生きることに対する空虚感を歌った「Living Dead」、美しいメロディーに乗せて自身のパーソナルな想いを綴った神々しいバラード「Teen Idle」、妖しげな音作りで異世界へと誘うミッド「Valley of the Dolls」、電子音を多用した作風の中でアコースティックな音作りが異色なミッド「Hypocrates」と、Marina扮するElectra Heartの織りなす世界観が炸裂したアルバムとなっています。また、ボーナストラック群も侮れない出来で、「Radioactive」の他には、強烈なタイトルに反してキャッチーで聴き易いエレクトロアップとなっている「Sex Yeah」、変則的で尖ったビートの近未来的アップナンバー「Lonely Hearts Club」、シンプルなピアノ弾き語りで孤独な想いを切々と歌い上げるバラード「Buy the Stars」など、本編に負けず劣らず高いクオリティを誇る楽曲が収録されています。特に1stの路線を継承した「Buy the Stars」は個人的にグッときましたね。こういう曲が聴きたかったんだよ私は!!この曲のためだけにDX盤買っていいと言っても過言ではないはずです。

先行シングル2曲はRihannaやKaty Perryを思わせるラジオフレンドリーなダンスポップ路線でしたが、思ったより独自の路線となっていて、"Marina流エレクトロポップアルバム"とでも言うべき作風となっています。キャッチーでポップなメロディーの曲が多いながらも、全体的にダークで浮遊感のある世界観で統一されており、アルバム一枚通して徹底的にコンセプトが貫かれている辺りは好印象でした。ただ、1stの面影はほとんど残っておらず、数少ないMarina単独作曲の「Teen Idle」「Fear & Loathing」「Buy the Stars」の3曲以外はほぼ完全にエレクトロ仕様。また、前作にあったハチャメチャで緩急の激しいメロディー展開や型破りで癖の強い歌唱法は影を潜め、本作では外部のプロデューサーやソングライターと組むことによって、それらが良くも悪くも綺麗に丁寧に修正されてしまっているという印象でした(特に前半)。つまり彼女の持ち味が本作で殆ど掻き消されてるんですよね。正直その辺のポップシンガーとやってることが変わらなくなってきたなぁと(本人のインタビューなんかの発言から察するに狙ってやってるみたいですが)。ただ、それでも他の幾多の女性SSWと比べるとやはり他とは違った独特の世界観があると思うし、アルバムとしてのクオリティは高いと思う。ただ、私は1stのような彼女の形振り構わぬ(ある種の独りよがりのような自虐的な)スタイルが大好きだったので、予想していたとは言え、この路線変更はちょっと残念でした。あと歌詞の点でも一言。前作では人間の影の部分や醜い部分を歌った曲が多くて、それに共感する人も多かったと思うんですが(特にマイノリティな考えを持った女の子(もちろん男子もね)に)、今回恋愛がテーマの曲が多いためか没個性的な内容が多かったのも、ちょっと残念かなぁと...。でもこれはこれで嫌いじゃないし、今回も良い曲多いし、正直自分の中でもこのアルバムに対する評価がイマイチ定まっていないので、長い目で見て聴き込んで行こうかなぁと思ってます。でも、やっぱり1stの方が断然好きであることは変わりないかなぁ...。