12.10.12

Ellie Goulding - Halcyon


01. Don't Say a Word
02. My Blood
03. Anything Could Happen
04. Only You
05. Halcyon
06. Figure 8
07. Joy
08. Hanging On
09. Explosions
10. I Know You Care
11. Atlantis
12. Dead in the Water
13. I Need Your Love (Calvin Harris feat. Ellie Goulding) *
14. Ritual **
15. In My City **
16. Without Your Love **
17. Hanging On (Feat. Tinie Tempah) **
18. Lights (Single Version) **

Ellie Gouldingのニューアルバム「Halcyon」がリリースされました。フォークトロニカ(エレクトロとフォークミュージックの融合)という名目で2010年に発表されたデビュー作「Lights」は全英1位にチャートインし、ダブルプラチナを獲得。アメリカでもシングル「Lights」が徐々に売り上げを伸ばし、シングルリリースから1年以上もの月日を経て、今年ついに全米2位を獲得。この曲のヒットをきっかけに、名実共にトップアーティストの仲間入りを果たすことになりました。なお本作のメインプロデューサーにはKylie Minogue「2 Hearts」などをプロデュースしたUK発のエレクトロポップユニット、Kish MauveのJim Elliotがアルバムの大半の楽曲をプロデュース。また、Ellie本人も積極的にプロデュースに関わり、Starsmithの全面プロデュースだった1stからガラリとイメージが変わり、彼女の意向も十分反映された作風に仕上がっているであろうと思います。ちなみに今回紹介するのはUS版Deluxe Editionですが、例によって国ごとに収録内容が違うバージョンがリリースされているので、Wikipediaなんかでトラックリストを確認しながら購入することをお薦めします。

まず、アルバム発売前に最初に公開されたのが、無料ダウンロードシングルとして先行リリースされた「Hanging On」。この曲はActive Childなるアーティストのカヴァーで、客演にUKのラッパー、Tinie Tempahが参加。ずっしりとした重厚なダブステップトラックにEllieの繊細なファルセットが乗っかった幻想的なバラードとなっています。ちなみにアルバム本編にはTinie Tempahのパートを抜かしたソロヴァージョンが収録されているんですが、個人的にはラップ無しの方が雰囲気あって好きかなーと。この曲、あんまりラップ似合ってない気がするし...。そして、正式に公開された1stシングル「Anything Could Happen」は、80年代風のエレクトロトラックにEnya的な神秘性を足したミッドナンバーで、「ヒーヒーヒーヒーーヒー♪」というエフェクト処理されたサビが斬新に耳に残る不思議な楽曲です。決してシングル向きの派手さは無いし、売れ線の曲とはちょっと違うけど、聴けば聴くほど癖になっていくタイプの曲ですね。そしてそんなマニアックな楽曲でも2週連続で全英5位を記録とまずまずの結果を出し、2枚目のジンクスなど吹き飛ばすEllieのアーティストパワーを見せつけてくれました。ただ、Videoはちょっと怖い...w 突然垂れてきた鼻血の下りで何事かと思いきや...w 何か「死」というか「天国」というか、そういう言葉を暗示させるようなVideoなのかなぁと思ってます。

そしてアルバムの方は、ダイナミックなドラムビートと呪文を唱えるようなヴォーカルが聴く者をアルバムの世界に誘う壮大な「Don't Say A Word」、広がりのあるメロディアスなサビが美しいパワーバラード「My Blood」、延々とループする四つ打ちビートにFlorenceやLykke Li辺りを彷彿とさせる土着的な音作りが融合した摩訶不思議なアップ「Only You」、アルバムの表題曲であり儚さと切なさを携えて颯爽と駆け抜けるアップ「Halcyon」、サビで突然ダブステップ調に転調するなど静と動を行き来する狂気的なミッドナンバー「Figure 8」、アコースティックで静かな導入部から徐々に盛り上がる壮大なバラード「JOY」、ピアノとストリングスによる厳かな雰囲気を纏ったシアトリカルなバラード「Explosions」、静かな哀しみと孤独感を帯びたピアノバラード「I Know You Care」、幻想的なサウンドに乗せて美しいファルセットを聴かせるPre Chorusからサビで一気に爆発するパワーバラード「Atlantis」、ビートを一切排除したアンビエントなエレクトロニカサウンドによってEllieの歌声に焦点を当てた本編ラストの幻想的なバラード「Dead in the Water」、ボートラとして収録されたEllie客演によるCalvin Harris名義のエレクトロハウスナンバー「I Need Your Love」などが収録。また、DX盤のみ収録のボートラの方はと言うと、パーカッシブなビートに妖しげな電子音を配したアップナンバー「Ritual」、比較的1stの路線に近い爽やかなポップソング「In My City」、アフリカンな要素も感じるキャッチー&トライバルなダンスチューン「Without Your Love」、Tinie Tempah参加バージョンの「Hanging On (Feat. Yinie Tempah)」、別に再収録してもらわなくても良かった気がする御存じ大ヒット曲「Lights」と、盛りだくさんの内容。

前半はシングル向きのキャッチーで分かりやすい楽曲が中心で、後半は聴かせるタイプの少し難解なバラードが中心という分かりやすい構成のアルバム。前作「Lights」はフォークミュージックの要素を足したキャッチーなエレクトロポップと言った感じでしたが、今回はよりSSW的な音作りとメロディーメイキングが目立っていて、彼氏(Skrillex)の影響も入ってるのかダブステップを取り入れた楽曲も多く、全体的に重厚で壮大なミッド~バラードが中心となっています。また、1stと比べるとキャッチーさは影を潜め、よりダークでアーティスティックな方向性を強く押し出そうとした作品という印象ですね。Ellieのボーカルも曲ごとに色んな歌い方を試しているような感じで、消え入りそうな繊細なファルセットから叫ぶように声を張り上げた絶唱まで聴けて、1stに比べて格段に表現力が上がったなぁと。と、この辺は好印象でした。ただ、悪く言えば大人しすぎるというか地味というか、印象に残りやすい曲が1stに比べて若干少ないですね。最初の5曲までは聴き応えあると思うんですが、それ以降がちょっと似たようなバラードばかり続いてメリハリに欠ける構成かなぁーと。1曲1曲は決して悪くは無いと思うんですが...。アルバム通して聴くとなると、ちょっとキツイかなぁと。あと、彼女は声質的にもっとポップな曲の方が似合うと思うんですけどねー。無理してFlorence的なアーティスティック路線に進まなくても...とか思っちゃいました。もう少し聴き込めば良さが分かるんだろうけど、今の所1stの方が断然好きですね...。と言うわけで、すみません。あえて厳しい評価にしました。

11.10.12

P!nk - The Truth About Love


01. Are We All We Are
02. Blow Me (One Last Kiss)
03. Try
04. Just Give Me A Reason (Feat. Nate Ruess)
05. True Love (Feat. Lily Rose Cooper)
06. How Come You're Not Here
07. Slut Like You
08. The Truth About Love
09. Beam Me Up
10. Walk of Shame
11. Here Comes the Weekend (Feat. Eminem)
12. Where Did the Beat Go?
13. The Great Escape
14. My Signature Move *
15. Is This Thing On? *
16. Run *
17. Good Old Day *
18. The King Is Dead But the Queen Is Alive **

世界の兄貴姉御こと、P!nk姐さんが遂にニューアルバムを引っ提げて帰ってきました。デビュー10周年に発売されたベストアルバム「Greatest Hits...So Far!!!」から2年ぶり、オリジナルアルバムとしては前作「Funhouse」から4年ぶりの新作となります。元旦那との復縁、出産を経てからリリースされた本作ですが、本国アメリカではキャリア初の全米1位を獲得&初動最高売り上げを達成と、公私ともに絶好調の彼女。制作陣には、近年のアルバムでもガッツリ組んでるButch WalkerやMax Martin、Billy Mannら盟友らに加えて、女性ポップスを得意とするGreg Kurstinや、Jeff Bhasker(Kanye West、Alicia Keys)、Emile Haynie(Kid Kudi、Lana Del Rey)、DJ Khaili、(Eminem、50 Cent)らアーバン畑のプロデューサー陣も起用。今回も彼女らしい人選で新旧多数のプロデューサーを迎えています。また、本作はP!nkにしては珍しく客演が多く、以前も共演経験のあったEminemを筆頭に、Nate Ruess(Fun.)、Lily Rose Cooper(Lilly Allen)と、絶妙なゲストを迎えています。

アルバムからの1stシングルは、P!nkのハイトーンヴォイスが冴えわたるちょいレトロなダンスロックナンバー「Blow Me (One Last Kiss)」。最近のP!nkと言えば、1stシングルにキャッチーでおバカなノリの曲を持ってくる傾向があると思うのですが、今回の曲はP!nkらしいキャッチーなポップロックでありながらエレクトロの要素もあり、またちょっとだけ哀愁感もあって、若干テイストを変えてきたかな?という印象です。ファーストインパクトはそれほど強くなかったけど、後からじわじわ効いてくる感じの曲ですね。プロデュースはGreg Kurstinですが、何となくSiaの「We Are Born」(同じGreg Kurstinプロデュース作)に入ってそうなノリの曲だな―と思いました。続いて2ndシングルとしてカットされたのは、P!nk鉄板のシリアスな哀愁ロックバラード「Try」。Aメロの淡々としたパートからサビで爆発する展開が圧巻ですが、個人的には単調で少し物足りないかなーと。ラストのサビメロ出だしは凄くゾクゾクするけど...!好きな曲だけど、ちょっと惜しい!ちなみにVideoはP!nkと相手役の男性がプロレス合戦しまくるという、シリアスなんだか笑いを取ってるんだか何かよく分かんないけどとにかく壮絶な内容となっていますので必見です。

オープニングを飾るにはインパクト抜群のプログレッシブなロックナンバー「Are We All We Are」、Fun.のヴォーカリストであるNate Ruess参加の、いかにもFun.の曲と言った感じのしんみりデュエットソング「Just Give Me A Reason」、Lily Allen改めLily Rose Cooperがキュートなウィスパーヴォイスで参加した和やかなポップソング「True Love」、三連ビートのノリノリなロックナンバー「How Come You're Not Here」、ファンキーに弾けたギターサウンドが爽快なヤリ○ンソング「Slut Like You」、タイトル曲でありながらコミカルで気の抜けた曲調の「The Truth About Love」、アコギとストリングスをバックにしっとり聴かせるバラード「Beam Me Up」、朝帰りでボロボロな身なりの恥ずかしさを歌った疾走感溢れるロックナンバー「Walk of Shame」、Eminem×P!nkの二大兄貴のコラボによる、さながらプロレスの入場曲のような男気溢れる曲調の「Here Comes the Weekend」、久しぶりに初期のR&B的な側面をちょっとだけ感じさせるシリアスな「Where Did the Beat Go?」、ピアノとストリングスのゴージャスな音色にP!nkの情感溢れるヴォーカルが乗った美しいバラード「The Great Escape」と、P!nkらしいキャッチーなロックナンバーを中心にアップからバラードまで相変わらず幅広い内容で楽しませてくれます。

また、ボーナストラックの方を紹介すると、Katy Perryが歌いそうな溌剌としたダンスロックチューン「My Signature Move」、こちらもダンスビートを取り入れつつも哀愁を帯びたミッドナンバー「Is This Thing On?」、切なくも力強い歌唱を聴かせるパワーバラード「Run」、某Florence嬢の某曲を彷彿とさせる陽気なポップソング「Good Old Day」、日本盤のみ収録のこれぞP!nkと言うべき痛快なロックナンバー「The King Is Dead But the Queen Is Alive」と、本編よりも若干既聴感漂うキャッチーで覚えやすい楽曲が揃っています。さらに、iTunes Onlyのボーナストラックに「Chaos & Piss」と「Timebomb」という楽曲がありまして、前者はAdeleテイストのしっとりソウルバラードで、後者はP!nk真骨頂のキャッチーで勢いのあるポップロックナンバーと、どちらもクオリティの高い出来なので、そちらもチェックしてみると良いかもです。

総合すると、前作、前々作までにあったセツナ系路線(「Who Knew」や「Sober」、「Please Don't Leave Me」など)は影を潜め、全体的にイケイケ&アゲアゲなロックナンバーで占められています。ロック色が強いという共通点からして、今までのアルバムに例えると、3rd「Try This」に近い出来ですかね。とにかく聴いてて気分が盛り上がる様なアッパーチューンが多く、おバカ路線のP!nk姐さんが好きな人はかなり楽しめるんじゃないかなーと。ただ、逆に言うとバラードが少ないので、その辺が若干物足りないですね。個人的にセツナ系のP!nkが好きなので、このアルバムは正直ちょっと微妙な印象でした。「Try This」ほどロックに振り切ってるわけじゃないし、何処か中途半端な印象を受けたので。あと歌詞の方もアルバムタイトルの示す通りラブソングが多く、P!nkらしいメッセージ性の強い歌詞が少なかったのがちょっと残念かな。ただ、聴いてるうちにこれはこれでアリだと思うようになったので、何も考えずに楽しむのが一番かも?というのが、今の所私の中での評価ですね。しかし、普通のアーティストなら10年以上活動してると、そのうち何処かで勢いが衰えるものなのに、彼女の場合衰える所か勢いが増していく一方なのが凄い。いつまでも人気者でいて欲しい!!