29.5.13

Little Boots - Nocturnes


01. Motorway
02. Confusion
03. Broken Record
04. Shake
05. Beat Beat
06. Every Night I Say A Prayer
07. Crescendo
08. Strangers
09. All For You
10. Satellite
11. Hush *

ぶーたんことLittle Bootsのニューアルバム「Nocturnes」の感想。デビューアルバム「Hands」から4年ぶりの新作となります。Little Bootsと言えば、BBC Sound of 2009の1位に選ばれた期待の新人として売り出され、アルバムは初登場5位とそれなりのセールスを記録していたと思うんですが、何故4年ものブランクが空いたかと言うと、その間、次のアルバムの方向性について揉めた結果レーベルとの契約解消、自主レーベルの立ち上げ、アルバム制作の大幅な延期などの経歴があったからだそう。制作の延期に関しては、多数のプロデューサーを迎えて、一度アルバムを作り終えたものの、アルバムに統一感を与えたく、延期を決定。アルバムのトータルプロデュースをTim Gorthworthy(最近ではDelphicの最新作「Collections」でも手腕を発揮していたプロデューサーですね)に任せ、一人のプロデューサーに全面プロデュースを委ねることによって、アルバムの統一感と完成度を高めたとのこと。自主レーベルから新たな出発を遂げ、アーティスト活動の主導権を手に入れたLittle Bootsのやりたいことが反映された、自由度の高いアルバムになっている模様です。

アルバムのオープニングを飾るイタロディスコテイストのノスタルジックな「Motorway」、「ヤッ ヤッ ヤッ ヤッ」や「ナ・ナ・ナ・ナ」などのフレーズが癖になってくるキャッチーなシンセポップ「Confusion」、今作のリードシングルに選ばれた低音がうねるダークで妖しげなエレクトロポップ「Broken Record」、ひたすらループしていくビートとウワモノが心地良いドープなハウスナンバー「Shake」、Kylie Minogueを彷彿とさせるキラキラ感溢れるキャッチーなポップソング「Beat Beat」、深遠な雰囲気のヴァースから80年代風の開放的なサビへと変身する「Every Night I Say A Prayer」、アンセミックなサビがライブで盛り上がりそうなチャーミングなポップチューン「Crescendo」、「Ray of Light」~「Music」期のMadonnaっぽいコズミックなエレクトロナンバー「Strangers」、変則的なエレクトロビートに切ないメロディーが溶け合うミッドナンバー「All For You」、最初から最後までハイテンションに突き抜けるハイエナジーなエレクトロダンスナンバー「Satellite」、日本盤のみ追加されたボーナストラックの哀愁漂うエレクトロポップ「Hush」など、前作と変わらず色んなテイストの楽曲がありながらも、「夜想曲」というタイトル通り、ダークで落ち着いたイメージで統一された作風となっています。

キャッチーでバラエティに富んだエレクトロポップで楽しませてくれた1stとはガラリと変わって、全体的にイタロディスコ/ディープハウス色の強くなった今作。1stにあったキラキラしたキャッチーさは後退し、全体的にクールでチルアウトしたムードを漂わせているのが今作の特徴ですね。しかし、決して難解になったわけではなく、きちんと耳馴染みの良いポップさを忘れていない辺りはLittle Bootsかな、と言った所。統一感がありながらも、1曲1曲の個性はきちんと光っている印象です。あと、アナログシンセを多用したサウンドだからかな、打ち込みなのに温かみのある懐かしい音使いに仕上がっているのが魅力的。ただ、(ボートラを除くと)曲数が少なく、しかも10曲中4曲が既発曲という構成のせいか、若干の物足りなさは感じられたかなーと。1曲1曲は良いんだけどね。せっかく統一感が素晴らしいのに、ちょっと勿体ないなーと思いました。個人的には、この統一感のまま、あと1~2曲ぐらいは欲しかったです。でも、1stよりもこういう路線の方がLittle Bootsらしいし、キャッチーなメロディーメイキングは変わっていないので、これは良い方向性を見つけられたんじゃないかなーと思いました。特にこれと言ったキラーチューンは見当たらないけど、アルバム1枚通して世界観が一貫している所は評価すべきアルバム。

26.5.13

Gabrielle Aplin - English Rain


- Disc 1 -
01. Panic Cord
02. Keep On Walking
03. Please Don't Say You Love Me
04. How Do You Feel Today?
05. Home
06. Salvation
07. Ready to Question
08. The Power of Love
09. Alive
10. Human
11. November
12. Start of Time
13. Take Me Away *

- Disc 2 -
01. Evaporate
02. Wake Up With Me
03. Alive (The RAK Sessions)
04. Please Don't Say You Love Me (The RAK Sessions)
05. Home (The RAK Sessions)
06. How Do You Feel Today? (The RAK Sessions)

あぷりんたんこと、UK出身の新世代フォークポップSSW、Gabrielle Aplinのデビューアルバム「English Rain」の感想。10代からシンガーを目指して、自作曲やKaty Perryの「Teenage Dream」、Cee Lo Greenの「Forget You」等をカヴァーした映像をYouTubeアップしているうちに、注目を集めるようになり、まずは自らが設立したインディーレーベル"Never Fate Records"から3枚のEPをリリース。そして、2012年にPerlophoneとレコード契約し、UKの有名デパート店John LewisのCMソングに起用された記念すべきメジャーデビューシングル「The Power of Love」が全英1位を獲得。それをきっかけに一気に名が知れ渡り、ポップファンからコアな音楽を好むインディーファンまでが注目する気鋭の新人アーティストとなりました。二十歳の女の子らしい等身大の歌詞と、コットンのように柔らかな歌声が特徴的で、また、ソングライティングのみならず、ギターとピアノも演奏出来るマルチプレイヤーとしての才能も発揮しています。今作のプロデュースは、Kylie Minogue、Diana Vickers、Emeli Sandéらのヒット曲を手掛けたUKのプロデューサー、Mike Spencerが全曲担当。ギターとピアノ中心のアコースティックなフォークアレンジに仕上がっています。

疾走感溢れる爽やかなフォークサウンドに乗せて切ないメロディーで別れを歌ったアップナンバー「Panic Cord」、Adeleの「Rumour Has It」を彷彿とさせるタイトで土着的なドラムとそれに絡むブルージーなアコギが渋いロックナンバー「Keep On Walking」、女の子らしい甘酸っぱいリリックとメロディーを聴かせるレイドバックしたフォークナンバー「Please Don't Say You Love Me」、センチメンタルなミディアムバラード「How Do You Feel Today?」、EP時代の楽曲が壮大なビッグバラードアレンジへと生まれ変わった「Home」、ピアノ弾き語りのイントロから徐々にスケール感が増す儚げなバラード「Salvation」、トラディショナルな雰囲気が魅力的なゆったりしたフォークナンバー「Ready to Question」、Frankie Goes to Hollywoodのカヴァーで、メジャーデビューシングルにして初の全英1位を獲得した神秘的なバラード「The Power of Love」、ピアノとストリングスに彩られた雨上がりの情景を思わせる広がりのあるバラード「Alive」、ちょいワールドミュージック調のノスタルジックな「Human」、アルバム終盤を盛り上げる爽快でキャッチーなポップロックナンバー「November」、本編ラストの力強く壮大なスケールのビッグバラード「Start of Time」、その後にシークレットトラックとして収録されているアコギ一本の弾き語りナンバー「Take Me Away」と、トラディショナルなフォークナンバーを中心に作られたフォークアルバムとなっています。また、DX盤のみ付属しているDisc 2には、伸びやかなサビが耳に残るキャッチーで親しみやすいポップソング「Evaporate」、アルペジオをバックに切々と歌い上げるフォークナンバー「Wake Up With Me」や、本編収録曲のアコースティックバージョン等が収録されているので、購入するなら確実にDX盤をお薦めします。特に「Evaporate」はアルバム本編と合わせても屈指の良曲だと思うので、尚更DX盤の方がお薦めです。

シングルの方は3曲とも気に入ってて、アルバムの方もポップとフォークが両立したクロスオーバー的な内容になってるのかな、と思ってましたが、蓋を開けてみると思った以上にフォーク色が強く、ブルーグラス調の「Panic Cord」や、「Keep On Walking」「November」などのポップロック路線を除けば、全体的にミッド~スロウテンポのトラディショナルなフォークナンバーで占められた、静かなアルバムとなっていました。もちろん生音中心のアレンジで、変に気を衒ったような曲も見当たらなく、彼女の持つ柔らかコットンボイスが活かされている楽曲ばかりなので、安心して聴けるアルバムですね。ただ、バラードがかなり多いので、正直退屈だなーと思わなくもないけどw 1曲1曲は耳馴染みの良い曲ばかりなので、そこまで気にならなかったです。ただ、もう少しポップな内容に振り切っても良かったんじゃないかな、と。比較的シングルやカップリング曲がポップな感じだったので、静かな曲が多いこのアルバムはちょっと肩透かしではありました。あと、M-5、M-6、M-12辺りのビッグバラード系の大仰なアレンジもあんまり彼女の歌声に合ってないような......? ヒットした「The Power of Love」を意識してるんだろうけど、初期のLeona Lewisみたいな正統派のバラードアレンジは、イマイチ楽曲の良さを引き出してないように思えました。彼女は声を張って歌い込むようなDIVA(笑)タイプじゃないから、声がアレンジの大仰さに負けちゃってるんだよね。「Home」とかEPバージョンの方がずっとGabrielleらしくて良い感じだし。もっとシンプルでフォーキーなアレンジの方が彼女の声質に合ってる様な気がします。

...と、いくらか苦言を呈してしまいましたがw 曲単体で見ると良い曲は多いです。アコースティックで癒されるアルバムなので、安らかな気持ちになれます(笑)。8月に日本盤発売決定&今年のサマソニ(東京のみだけど)にも出演するし、日本でもあぷりんたん旋風が巻き起こってくれると良いですね!!

12.5.13

Single Review Vol.4 (May/2013)

Lana Del Rey - Young and Beautiful

豪華参加アーティスト勢が話題の、6月に公開される映画「華麗なるギャツビー」のサウンドトラックからのリードシングルで、哀しくも美しいメロディーを憂いのある歌声で歌い上げた彼女らしいバラード。しかし、1stアルバムに顕著だった尖ったビートや余計なSEは、この曲ではほぼ最小限に抑えられ、ビートレスのシンプルなオーケストラアレンジなだけあって、Lanaの歌声とメロディーの良さがより一層映える仕上がりとなっています。個人的にも「Born to Die」に引けを取らない名曲だと思う。楽曲の持つ切迫した空気感と、「たとえ何もかも失い、傷ついた心しか残っていなくても、それでもあなたはまだ私を愛してくれる?」と深い愛を誓うリリックが素晴らしい。意外とこういう正統派のバラードって今までの彼女に無かったよね。正直「Paradise」があまり好きになれず、それ以降彼女に対する熱も冷めかけていたんですが、この曲で一気に熱が上がったわ。次のアルバムも楽しみ!



10.5.13

Charli XCX - True Romance


01. Nuclear Seasons
02. You (Ha Ha Ha)
03. Take My Hand
04. Stay Away
05. Set Me Free
06. Grins
07. So Far Away
08. Cloud Aura (Feat. Brooke Candy)
09. What I Like
10. Black Roses
11. You're the One
12. How Can I
13. Lock You Up

若干二十歳の新世代UKエレクトロガール、Charli XCXのデビューアルバム「True Romance」の感想。最近では全世界でブレイク中のIcona Popのヒット曲「I Love It」に客演でフィーチャーされていることでも知られているCharliですが、シンガーとしてのキャリアは意外と長く、2008年に自身の設立した(!!)レーベルからデビューアルバムをリリースする運びとなったそうですが、プロモーション不足の問題であえなくお蔵入りに。その後メジャー契約を結び、シングルやミックステープのリリースを繰り返しつつ、ColdplayやSantigoldらのオープニングアクトとして出演するなど長い下積み経験を積んでいましたが、約5年の時を経て、ようやくアルバムデビューを果たすことに成功しました。アルバム自体はそれほどヒットしませんでしたが、批評受けは良く、Pitchfork Mediaでは8.3の高評価(!!)を付けるなど、インディーポップファンからは評価されている彼女。その音楽スタイルはR&B、ヒップホップ、ニューウェーブ、トリップホップなど様々なジャンルを取り込んだエレクトロトラックに歌とラップを交互に織り交ぜた独特なもの。また、1曲の中で歌い方をコロコロ変えたりするのも特徴ですね。比較対象としてはMarina and the DiamondsやGrimesらがよく挙げられているようです。

そんな彼女のアルバムの内容を紹介しますと、まずはシングルバージョンには無かったキラキラした幻想的なイントロから始まるダークでカオティックなエレクトロナンバー「Nuclear Seasons」で幕を開け、Gold Pandaの同名曲をサンプリングした煌びやかなアーバンポップ「You (Ha Ha Ha)」、80'sテイストの四つ打ちビートにキャッチーなメロディーが輝くエレクトロアップ「Take My Hand」、暗く淀んだ雰囲気のゴシックバラード「Stay Away」、Gwen Stefaniを彷彿とさせるエモーショナルなボーカルが聴ける切ないバラード「Set Me Free」、サビに向かってテンポアップしていく幻想的な美しいミッド「Grins」、ほぼ全編ウィスパーボイスで艶っぽく歌うミッド「So Far Away」、気鋭の女性ラッパー、Brooke Candyをフィーチャーした妖しげなヒップホップチューン「Cloud Aura」、トランシーでBPM高めのイントロから始まる摩訶不思議なミッド「What I Like」、低音の効いた四つ打ちビートが鳴り響く攻撃的なアップ「Black Roses」、キャッチーなフックに重低音シンセとビートが絡み合う「You're the One」、畳みかけるように重苦しいビートが襲いかかるダークで重厚なバラード「How Can I」、ファルセットで可愛らしく歌い上げるニューウェーブテイストの爽やかなポップソング「Lock You Up」と、その辺のエレクトロポップとは一線を画する一癖も二癖もある捻くれたエレクトロナンバー盛りだくさんのポップアルバムとなっています。

正直最初は「何とも形容しがたいアルバムだなぁ...」というのが第一印象でした。シングルも「You (Ha Ha Ha)」以外の曲は初聴の段階だと「?????」って感じだったんですが、アルバムの方もまさに一回聴いただけだと理解しづらい難解な曲が多く、音、メロ、ヴォーカルと総じて捻くれてる。とにかく1曲1曲が濃い曲ばかり!しかし、曲自体はどれもキャッチーでインパクトが強いので、聴いてるうちにだんだん癖になっていく感じですね。あと、トークラップが随所で盛り込まれていたり、ドスの効いた歌声でこぶしを効かせたかと思いきや、可愛らしいウィスパーボイスで囁くように歌ったり、しゃくりあげるような裏声が飛び出したりと、1曲の中で歌い方をコロコロ変える辺り、ボーカルスタイルはMarinaと言うよりGwen Stefaniに近い印象かな、と(特に「Set Me Free」はモロGwen。まあ、Marinaにも似てるけど、あちらの方がだいぶ濃いので...w) このカラフルで表情豊かなボーカルスタイルこそが、ある意味本作に一番のポップさを添えているような気がします。

全体的にダークでゴステイストの強いアルバムなので、聴く人を選ぶかと思いますが、冒頭で挙げたMarina and the Diamonds、Grimesなどインディーポップ寄りの個性的なSSWが好きな人はハマると思います。捻くれててエッジーでフリーキーなんだけどよく聴いてみるとポップなアルバム!是非一度お試しあれ。