19.11.15

Ellie Goulding - Delirium

Release Date: 6 November 2015 (WW)
Label: Polydor

Tracklist:
-Disc.1-
01. Intro (Delirium)
02. Aftertaste
03. Something in the Way You Move
04. Keep On Dancin'
05. On My Mind
06. Around U
07. Codes
08. Holding On For Life
09. Love Me Like You Do
10. Don't Need Nobody
11. Don't Panic
12. We Can't Move to This
13. Army
14. Lost and Found
15. Devotion
16. Scream It Out
-Disc.2-
01. The Greatest *
02. I Do What I Love *
03. Paradise *
04. Winner *
05. Heal *
06. Outside (Calvin Harris Feat. Ellie Goulding) *
07. Powerful (Major Lazer Feat. Ellie Goulding & Tarrus Riley) **
08. Let It Die **
09. Two Years Ago **

"ゴル子"ことEllie Gouldingの3年ぶりのニューアルバム「Delirium」の感想。オリジナルアルバムとしては2012年発表の前作「Halcyon」以来のリリースとなります。3年と言うと結構なブランクが空いたように見えますが、その間にリパッケージ盤「Halcyon Days」や、シングル「Burn」「How Long Will I Love You」「Goodness Gracious」、映画のサントラ提供曲「Beating Heart」「Love Me Like You Do」などのヒット曲をコンスタントに出していたので、そんなに久々な感じはしませんね。むしろ数多くのゴリ押しと話題作りで逆に注目しない日が無いといっても過言ではないくらい日々存在感が高まってた気がします。てかこの3年間で色々変わりすぎだろ。そんなゴル子ちゃんですが、今作のテーマは"Pop Music"。ダークで内省的なオルタナ路線だった前作「Halcyon」から打って変わって、今作では敢えて流行に倣った大衆ポップ路線に舵を取りたかったらしく、ゴル子本人曰く「実験的だった」との事。製作陣の方も「Love Me Like You Do」や先行シングル「On My Mind」をプロデュースしたMax Martinを筆頭に、Ryan Tedder、Greg Kurstinなど、大衆ポップミュージックを得意とするプロデューサーで固めてます。また歌詞の方も、大きな喜びから胸を締め付けるような悲しみ、はたまた気が狂ったような状態まで、この3年間の間に体験した様々な感情を描いたそうで、それら全てをひっくるめて"Delirium=狂喜、精神錯乱、せん妄"と名付けたのだとか。「Delirium」……彼女らしい感性のタイトルですよね。さて、今まで以上にポップでキャッチーであろう今作、果たしてどんな仕上がりになっているのでしょうか。

前作「Halcyon」と今作「Delirium」の"繋がり"を意味すると言う荘厳なイントロ「Intro (Delirium)」から始まり、アルバムのオープニングを飾る民謡風のコーラスが異国情緒感を醸し出す勇ましいアップナンバー「Aftertaste」、キャッチーで心躍る四つ打ちダンスチューン「Something in the Way You Move」、Ryan Tedderプロデュースのサイバーでチルアウトなダンスチューン「Keep On Dancin'」、アルバムからの1stシングルで"わあがちゅおままいん"のリフレインが癖になるR&Bテイストの「On My Mind」、Outkast風の近未来R&Bサウンドが聴けるアップナンバー「Around U」、Carly Rae JepsenやCHVRCHESの最新作にも入ってそうな80sテイストのキャッチーなエレクトロポップ「Codes」、ジャジーなビートとピアノ連弾が疾走感を放つアップ「Holding On For Life」、映画「Fifty Shades of Grey」の挿入歌として大ヒットしたパワーバラード「Love Me Like You Do」、サビで変拍子に変わる展開が面白いエレクトロチューン「Don't Need Nobody」、王道ながらも切なさを携えたポップチューン「Don't Panic」、弾けたビートといくつもの重ねられたサビのコーラスがカラフルに彩るアップナンバー「We Can't Move to This」、2ndシングルに決定された温かみのある美しいフォークバラード「Army」、前曲の雰囲気を受け継いだ8ビートのフォークポップ「Lost and Found」、フォークと2ステップが融合した独特の音作りと刹那的なメロディーが胸打つ「Devotion」、アルバム本編の大団円を飾るスタジアム栄えしそうな壮大なバラード「Scream It Out」と、ゴル子らしいポップでキャッチーなメロディーと独特のしなやかなヴォーカルスタイル、そしてバラエティに富んだジャンルレスなサウンドで攻めてくれます。

そしてデラックス・エディション(及びターゲット・エディション)収録のボーナストラックの方ですが、柔らかなタッチのポップソング「The Greatest」、M.I.A.やSantigold風の奇抜なトラックとゴル子の汚声が炸裂した珍曲アップ「I Do What I Love」、幻想的な雰囲気が「Lights」を思わせるキャッチーなダンスチューン「Paradise」、ダークで厳かなエレクトロバラード「Winner」、DisclosureのGuy Lawrenceが共作&プロデュースを手がけたエレクトロバラード「Heal」、Calvin Harrisとのコラボ第二弾こと「Outside」、ゴル子にとっては新境地のソウルサウンドで自身の引き出しの多さを見せ付けたMajor Lazerとの「Powerful」、アメリカの大手ストアTargetのみ販売されるターゲット・エディション収録の新曲でエモーショナルなフォークバラード「Let It Die」、こちらもターゲット・エディション収録で今カレDougie Poynterとの馴れ初めを歌ったという美しいバラード「Two Years Ago」など、アルバム本編に負けず劣らずのクオリティの高い楽曲が収録されています。

Max MartinチームとGreg Kurstinが全面的に関わっている為、聴く前はトレンドを意識したポップアルバムになっているのかと思いきや、蓋を開けてみると意外にも独自の路線を突き詰めた内容でした。確かに全編キャッチーなんだけど、むしろ1stの頃の音楽性を思わせる独特のポップさで、個人的にはとても好印象。もちろん「On My Mind」みたいなトレンドど真ん中な路線の曲もあったりするけど、あくまでどの曲も"Ellie Gouldingらしさ"がきちんと備わっていて、決してセルアウトとは言わせないオリジナリティと高いクオリティを誇っている。そして同じ"ポップ"という括りでも、分かりやすくキャッチーでヒットポテンシャル高そうな曲から、1曲の中でコロコロ転調していく曲、ひねくれたメロディーの曲、はたまたインディー寄りのコアな曲まで、アルバム1枚の中で色とりどりのスタイルのポップミュージックを提示していて、聴いてて楽しいし飽きない。「Halcyon Days」のEDM路線や数多くの客演仕事を筆頭としたここ最近のジャンルを跨いだ活動も、このアルバムを作り上げるためのステップアップだったんじゃないかな、と。アーティスティックだけどどこか身の丈にあってないように感じた「Halcyon」みたいなオルタナ路線よりは、こういう素直なポップミュージックの方がゴル子らしいな、と思った次第です。セールスは思ったより著しくないようですが(UKでは同時発売のLittle Mixの新作に負けて初登場3位)、上手く話題作りプロモーションを進めていって根強くロングヒットして欲しい所!まさに"Big Pop Album"という触れ文句に相応しいポップアルバムの大作!!